レバノン:大爆発事件が捜査停止に 司法に対する当局の圧力

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2021年10月 1日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:レバノン
トピック:

レバノン当局は、昨年8月4日、ベイルート港で発生した大規模爆発事故の捜査を一旦停止することを決めた。国会議員2人に喚問を求めた判事が、「先入観がある」として2人に提訴されたことを受けた対応だった。

爆発事故の捜査は、当初から捜査の停止を目論む政治家らの横槍が入ったが、今回の決定は、それを裏付けるものだ。また、犠牲者、生存者、その家族の権利を無視する政治家らの冷酷無比さをあらためて浮き彫りにしている。

捜査には常に、政治家や官僚の召喚阻止に躍起になる関係当局の横槍が入った。事件を当初担当した判事を解任、2番目の判事を停職処分にし、国会議員の不逮捕特権の解除要請も拒否し、召喚も阻止しようとした。

捜査が停止され、事件が迷宮入りしそうな今こそ、国連人権理事会は早急に、事実調査団の派遣を決め、EUや国連の人権専門家の提言、各種団体や犠牲者家族の要望などを聞く必要がある。

大爆発事故から13カ月、当局は、爆発に関与した疑いある政治家や官僚らが、喚問や訴追を免れるよう、あらゆる手段を使って捜査を妨害してきた。

直近では、事件への関与が疑われ、召喚されようとした国会議員2人が、捜査を主導するタレク・ビター判事を政治的偏見があるして提訴した。同判事は以前、国会議員の不逮捕特権の解除や、ハッサン・ディアブ前首相と元閣僚で現議員や治安部隊の幹部ら3人の喚問を目指したが、いずれも実現しなかった。

その後判事は、議員や官僚から非難中傷にさらされたが、前任のファディ・サワン判事も同様の目に遭っていた。複数の政治家を召喚して破毀院に解任され、自身が、自宅が爆発に巻き込まれた被害者であることもあって、嫌がらせを受けた。

アムネスティ国際ニュース
2021年9月27日

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