レバノン:行き場のない移住家事労働者に緊急支援を

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2020年6月15日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:レバノン
トピック:難民と移民

(C) JOSEPH EID/AFP via Getty Images
(C) JOSEPH EID/AFP via Getty Images

この数週間、レバノンの首都ベイルートのエチオピア領事館前には、数十人のエチオピア人女性が集まっている。住み込み先の雇用主に賃金未払いのまま追い出された移住家事労働者たちだ。パスポートや所持品も返してもらっていないという。

レバノン政府は、経済危機が悪化した挙句に解雇され、行き場を失った移住家事労働者の権利を保護しなければならない。

労働大臣には、雇用者に対して移住労働者の賃金と住まいを保障した統一基準に基づく労使契約を遵守させる責任がある。

領事館前の女性たちは、社会の隅に追いやられた人たちであり、新型コロナウイルス感染症で悪化した経済危機の影響を被っている。レバノン政府は、彼女たちの窮状を無視してはならない。

雇用主に絶対的権限を与えるカファラ制度(雇用主による保証人制度)のもと、移住労働者は権利を著しく制限され、命までも危険にさらされてきた。さらに、コロナ対策の外出制限により、虐待被害の訴えが増えている。

労働、社会問題、内務の各大臣は、互いに連携を取りながら、失職した移住家事労働者に住居、食料、医療などを提供しなければならない。

労働省は、移住家事労働者の労働環境の監視を専門とする部署を設置し、雇用主の契約違反に迅速な対応が取れるようにすべきだ。労使紛争の即時処理体制を整え、不払い賃金の支払いや帰国費用の雇用主負担が契約通りに履行されるようにすることも求められている。

レバノンの移住家事労働者の大半は、エチオピア人が占める。同国労働省の数値では、2018年11月時点のエチオピア人家事労働者は144,986人だ。ただ、この数字には、数千人と言われる労働許可証を持たない非正規労働者は、含まれていない。

見捨てられた移住家事労働者

5月28日、アムネスティは、10人のエチオピア人家事労働者から話を聞いた。そのうちの数人は、賃金の支払いが止まり、帰国旅費の支払いも拒否されたという。

マクダさん(仮名、21才)は、雇用主に領事館まで連れてこられて手荷物と共に放り出され、路上生活を余儀なくされている。

労働省の担当者は6月1日、アムネスティに「雇用主宅から追い出され、ホームレスになった労働者がいることは認識していない」と語り、直ちに調査することを約束した。

行き場のない非正規労働者

アムネスティはまた、5人の非正規労働者からも話を聞いた。5人とも、帰国手続きのためにエチオピア領事館にいたが、帰国旅費は払えないという。

アムネスティは領事館に複数回、非正規労働者に現金や宿泊場所などの支援をする考えがあるかを問い合わせたが、回答を拒否された。

アムネスティは、レバノンの内務大臣に対し送還手続きの詳細を広く公表し、帰国を望む移住労働者の帰国が実現するよう、関係大使館、領事館と調整するよう求めている。

アムネスティ国際ニュース
2020年6月3日

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