エチオピア:コロナ危機の中の強制立ち退き 仕事も家も失う住民

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2020年5月11日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:エチオピア
トピック:強制立ち退き

(C) Private
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エチオピアの首都アジスアベバの当局は過去3週間に、日雇いで働く人びとが住む家屋を、不法占拠を理由に撤去した。新型コロナウィルスが世界的に流行する中で、一方的に住居を取り崩された少なくとも1,000人が、ホームレスになった。

その多くは、コロナの影響で仕事を失っている上、風雨をしのぐビニールシートさえも押収され、眠れない日々を過ごしている。戸外で寝起きし、雨が降ればびしょ濡れになり、大人も子どもも体が冷え切ってしまうという。

コロナ危機の中、感染の拡大防止や感染からの回復に、家があることは欠かせない。当局は、いかなる理由でも家屋を取り崩すなどで住民を感染の危険にさらしてはならない。

2月中旬から始まった家屋取り崩しについて、当局は、家屋は不法建造物で撤去は当然だとしているが、住民側は10年以上も前に農家から買った土地の上に家を建てたと、正当性を主張している。しかし、市当局は、この主張を認めず、あくまでも不法占拠だとの見方を変えていない。

4月初旬、自宅を奪われた住民たちは、ビニールシートなどを使って簡易な小屋を作り始めたが、4月14日からまたもや警察により潰され、資材も没収されてしまった。

ウイルス、失業、豪雨と闘わなければならない住民にとって、容赦なく続く家屋撤去は、あまりにも非人道的である。

アムネスティが衛生写真で確認したところでは、4月6日以降、アジスアベバの国際空港付近11カ所にある家屋のうち、最近建てられた約40の家屋が全壊か半壊状態だった。以前の衛星写真と比較すると、その違いは歴然である。

家を失った被害者の多くが、建設現場で日雇い労働をしていたが、コロナの影響で仕事はすべて止まった。

国際人権法は、強制退去においては、居住者への事前告知と話し合いの手続きが不可欠としているが、住民によると事前の連絡は一切なく、ある日突然、家を撤去されたという。

シングルマザーの女性によると、自宅が破壊されたことを聞いたのは勤務中に近所の人からだった。

警察の逮捕を恐れて匿名を条件に話してくれたその女性は、「4人の子どもは夜に雨が降る度に防水シートで雨をしのいでいる。テント小屋を作ろうにも、すぐにテントを没収されてしまう」と嘆いた。

当局は、直ちに強制撤去を取りやめるとともに、すでに家を失った住民には一刻も早い仮設住宅の提供をしなければならない。今後の対策については、これらの世帯に対し適切な相談機会を設け、双方の同意に基づいた長期的計画を示した上で、実施に移すべきである。

アムネスティ国際ニュース
2020年4月29日

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