中国:香港:デモへの対応調査 警察の責任追及なし

  1. ホーム
  2. ニュースリリース
  3. 国際事務局発表ニュース
  4. 中国:香港:デモへの対応調査 警察の責任追及なし
2020年5月28日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:中国
トピック:

(C) Jimmy Lam @everydayaphoto
(C) Jimmy Lam @everydayaphoto

香港警察苦情処理独立委員会(IPCC)は、昨年6月以降の抗議デモや市民への警察の対応に関する調査報告書を公表した。

報告書は誤解を招くような内容で、多数の市民に暴力を振るった警察の責任問題には言及していない。警察の対応には「改善の余地がある」としながらも、警察の抑圧的、暴力的な行為の処罰という視点に欠けている。

香港政府に、横行する警察の人権侵害に手を打つ意思がないことの表れだ。

また、報告内容は公平性を欠く。そもそも、報告書を作成した委員会に、独自に調査する権限がないのだ。

その結果、デモをめぐる問題を俯瞰せず、ごく一部のデモ隊による警察への憎悪や暴力を大きく取り上げるようなことをしている。その上、何の裏付けもなく、香港にテロの脅威が迫りつつあるという驚くべき見解を出している。香港政府は、テロ対策を理由に警察による過剰な力の行使を正当化してはならない。

林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は、委員会の報告書を全面的に支持し、市民社会や国連が求める真に独立した調査委員会の設置をあらためて否定した。

最近も非暴力に徹した抗議活動でも警察の暴力があった。表現と集会の自由に対しさらに強硬な対応をとることで反対意見を封じることができると、政府が考えているのは明らかだ。

香港政府は、抗議活動に対する警察の人権侵害を隠蔽するのではなく、警察の人権侵害を調査する独立調査委員会を国際基準に沿う形で設置しなければならない。

偏った内容の調査報告書は、市民の怒りをさらに大きくするだけである。市民の信頼を取り戻し、暴力の連鎖を断ち切る第一歩として、香港政府は、真に独立した調査を実施すべきだ。

背景情報

IPCCは昨年7月、抗議行動に関連した複数の暴力事件の調査の実施を決めた。とはいえ、委員会には、書類の提出や証人喚問を求める権限はなかった。

12月、調査に参加した国外の専門家の一人が、IPCCの調査力と権限不足を理由に辞任、「これでは自由と権利を重んじる社会の警察監視機関に香港市民が求めるであろう水準に達することはできない」と指摘した。

IPCCの調査権限には問題があるとして、活動家の一人が異議を申し立てたが、審査の中でIPCCの代理人は、これは調査ではなく、警察に対する苦情の申し立てに関し、何ら結論を出すものでもないと、明言した。

国連人権委員会と拷問禁止委員会は、香港政府が人権侵害を調査する上でIPCCには限界があることを繰り返し指摘してきた。

アムネスティは、香港の警察が抗議行動に対して不必要かつ過剰な力を行使してきた事実を調査し報告してきた。

3月には、人権侵害を調査する独立調査委員会の必要性とその国際的な法的枠組みを明らかにした。

アムネスティ国際ニュース
2020年5月15日

英語のニュースを読む

関連ニュースリリース