大韓民国:差別禁止法案可決で人びとに希望と安心を

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2020年7月22日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:大韓民国
トピック:性的指向と性自認

(C) Getty Images
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韓国で6月29日、包括的差別禁止法案が国会に提出された。

LGBTI(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、インターセックス)を含むすべての人びとに対する差別を禁止する法案が成立すれば、差別廃止に向けた法整備の面で、韓国はアジアの先陣を切ることになる。多くの人びとに希望と安全・安心をもたらす主導的取り組みとなるだろう。

国際法は、性的指向、性自認、性徴による差別を禁じている。広範囲にわたる差別を禁止する法令は、国際法や国際基準が定めるすべての人に対する平等の権利の保障に向けた極めて重要な一歩だ。

文在寅大統領は、国内の人権状況の改善に向けた取り組みをさらに推し進め、あらゆる差別を排除する今回の法案や他の提案に対する真摯な議論を後押ししていくべきだ。

背景情報

包括的差別禁止法案は、正義党と数名の国会議員により共同提出された。

差別禁止法案が国会に発議されるのは、2006年の初提出から今回で7度目だ。これまでの議論では、LGBTIの人たちへの差別を禁止の対象とするかどうかが、特に争点となっていた。

与党「共に民主党」は7月8日、報道機関に対して、正義党などと同様の差別禁止法案を提出する用意があることを示唆した。

韓国では、政権党が、一つの問題についての議論を主導しなければ、他の党がその問題に関する法案を提出することがある。その後の議論で歩み寄りを進め最終法案として取りまとめ、国会での可決を目指すという手法だ。

韓国におけるLGBTIたちに対する差別は、さまざまな形で存在する。中には、組織の中に深く根を下ろす差別もある。合意に基づく成人間の性行為は、一般社会では禁じられていないが、軍隊では違法行為とみなされる。韓国は、ほぼすべての男性が少なくとも21カ月、軍務に就くが、軍隊では、LGBTIの人たちは、日常的に差別や暴力にさらされる。

また、新型コロナウイルス危機で社会に根付くLGBTIに対する偏見が、あらためて浮き彫りになっている。メディアや市民は、LGBTIの人がPCR検査で陽性と判明すると、何の根拠もなく「感染拡大につながる」と考える傾向にある。感染と性的指向や性自認を結び付けるのは、明らかな差別だ。

世界には、新型コロナの流行を口実にLGBTIの人たちを排除し、その権利を侵害し、誹謗する措置を取っている国もある。

国際人権法・国際人権基準は、国にはLGBTIの権利を尊重し、保護する義務があると定めている。その義務には、差別を禁止する政策や法律の導入も含まれる。

韓国での包括的差別禁止法案の提出は、アジア地域の他の国が同様の動きを取る上で弾みとなる。台湾では昨年、同性婚が合法化され、日本では、LGBTIの人たちへの差別に焦点を当てた法案の議論が始まっている。

アムネスティ国際ニュース
2020年7月16日

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