ベラルーシ:大統領選への抗議 暴力で鎮圧する警察

  1. ホーム
  2. ニュースリリース
  3. 国際事務局発表ニュース
  4. ベラルーシ:大統領選への抗議 暴力で鎮圧する警察
2020年8月18日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:ベラルーシ
トピック:

(C) Valery Sharifulin/TASS via Getty Images
(C) Valery Sharifulin/TASS via Getty Images

8月9日の夜、ベラルーシの首都ミンスクでは、大統領選挙の結果に反発する多くの市民が抗議の声をあげたが、治安警察は非暴力の市民に激しい暴力を加えた。現地に入ったアムネスティ調査団が目撃した。

選挙を控えたこの数カ月間、ミンスクをはじめとした各都市で市民の政府批判が盛り上がってきた中で8月9日に、現職アレクサンドル・ルカシェンコ候補にスベトラナ・チハノフスカヤ候補が挑む大統領選挙が実施された。

同日夜、政府が発表した「公式出口調査」は、現職が80%の得票率を獲得したということだったが、この結果は、多くの市民の予想や別の出口調査結果と大きく食い違っていた。その別の出口調査は、対立候補の圧勝を示していた。

あまりに食い違う政府発表に「不正選挙」だとして激しく抗議する市民数万人が、各都市で路上に繰り出し、抗議の声を上げた。

ベラルーシでは選挙後の治安当局の暴力が定番となっており、あらゆる形の平和的反対意見の表明が過酷な弾圧を受けていきた。

今回も警察は、閃光音響発弾をはじめとする無差別に力を行使した。抗議行動とは無関係の市民も逮捕している。

警察のバンが、広い道路を全速力で走りデモ参加者をはねる様子を撮った動画もあった。この動画を見れば、警察がいかに残忍か、なぜこれほど多くの市民が変化を渇望しているかがわかる。

9日の抗議デモでは、ミンスクでデモ参加者1人の死亡が確認され、何十人もが重傷を負った。

アムネスティの調査団は、暴力に訴える市民を一人も見かけなかったが、そんな中でも警察は、一方的で無差別に抗議する人たちに襲いかかっていた。

デモ参加者と警察官の双方に負傷者を出した衝突は、治安警察がデモ参加者の集会の自由を尊重し、適度に抑制した行動をとっていれば避けられたはずだ。警察の対応は、法の範囲を越えていた。

さらに、ミンスクをはじめとした複数の都市で、政府に抗議する市民への警察の暴力が激化していることも、憂慮すべき事態だ。

政府は、警察による暴力を封じるためにあらゆる措置を取り、市民の集会の自由、表現の自由を十分尊重し、国際的な人権法に基づく国の義務を順守すべきだ。また、今回の警察の暴力に対する公正な調査を徹底して行い、人権侵害に関わったすべての警察官の責任を問うべきだ。

選挙期間中、根拠もなく拘束されたデモ参加者や政治活動家についても、直ちに釈放する措置を取るべきだ。

アムネスティ国際ニュース
2020年8月10日

英語のニュースを読む

関連ニュースリリース