ベラルーシ:旅客機を強制着陸 乗客のジャーナリストを拘束

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2021年6月 1日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:ベラルーシ
トピック:

(C) Omar Marques/Getty Images
(C) Omar Marques/Getty Images

5月23日、ギリシャからリトアニアに向かっていた旅客機が、ベラルーシ当局によって首都ミンスクの空港に緊急着陸を強いられ、乗っていた反体制派メディアNEXTAの設立者で元編集長のロマン・プロタセヴィッチさん(26歳)と交際相手のソフィア・サペガさん(23歳)が拘束された。当局は、プロタセヴィッチさんを拘束するためだけに旅客機を強制着陸させたことは明らかだった。プロタセヴィッチさんは、昨年11月に騒乱扇動などの容疑で起訴されており、有罪なら最高20年の刑を受けるおそれがある。

2人が乗ったギリシャ・アテネ発リトアニア・ビリニュス行きの民間航空機は、旅客機に爆発物が仕掛けられたおそれがあるとして、出動してきたベラルーシ空軍のミグ戦闘機に誘導されてミンスクの小さな空港に着陸させられた。後に、爆発物は根も葉もない話だったとされている。

昨年8月、激戦となった大統領選挙で現職のルカシェンコ大統領圧勝という結果は不正だとして抗議するデモが、ベラルーシ全土で起きた。11月、プロタセヴィッチさんは、NEXTAの共同設立者とともに、市民として初めてテロリストに指定され、騒乱扇動、治安妨害、警官らへの憎悪の扇動の3つの容疑で起訴された。有罪になれば、最高20年の刑を受ける。彼らは、ジャーナリストとしての市民の抗議運動を報じる仕事をしていただけだった。

プロタセヴィッチさんとサペガさんは拘束後、暴力や虐待を受けるおそれがあった。拘束した翌日の5月24日、国営メディアはプロタセヴィッチさんが「自供」する様子を撮った動画を公開した。プロタセヴィッチさんは、カメラに向かって、「捜査に協力する」「ミンスク市民の騒乱を組織したことを認める」などと話したが、この発言は抗議デモを組織したことを認めたに過ぎない。顔には複数のあざがあり「(当局に)丁寧で合法的な扱いを受けている」と語っていたが、自供を強要された可能性は拭えない。

ベラルーシ当局は、拘束中の人物に告白を強要した映像を公開して、本当に世界を欺けるとでも思っているのだろうか。

これまでベラルーシの治安当局は数々の人権侵害を繰り返してきただけに、プロタセヴィッチさんの身の安全と体調が、強く懸念される。一方、交際相手のロシア人サペガさんは、プロタセヴィッチさんを心理的に追い詰める手段として拘束されたとみられるが、当局は、サペガさんの拘束理由を明らかにしていない。

アムネスティは、プロタセヴィッチさんとサペガさんが常軌を逸した手段で拘束されたことを受け、緊急行動(Urgent Action)を開始する。2人の即時釈放を求め、世界中の人々にUAに参加するよう呼びかける。

アムネスティ国際ニュース
2021年5月25日

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