ベラルーシ:新たな死刑法 人権への究極の攻撃

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2022年5月31日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:ベラルーシ
トピック:死刑廃止

ベラルーシで、「テロ行為の準備」に対し死刑を適用する新たな法律が導入される。

同国は、欧州や中央アジアの中で死刑を存置する唯一の国だ。新法では、死刑という残虐で非人道的な刑罰の適用範囲が拡大され、故意の殺人にあたらない行為にも死刑が適用されることになった。ベラルーシに課されている国際的な義務に違反する同法の成立で、人権をあからさまに無視する姿勢があらためて浮き彫りになっている。

当局によるテロ行為の定義が極めてあいまいで、反政府派の訴追にテロ関連罪が適用されるおそれがあることが、とりわけ懸念される。当局は、平和的デモや発言を凶悪犯罪と同一視しており、新たな法律には、市民の抑圧を強め、人の死を伴う刑罰の頻度を増やしたい当局の思惑がにじみ出ている。これは危険な兆候と言える。

国の政策がはなはだ抑圧色を帯びる中、反政府派の人たちが異論を唱えようものなら、銃殺されるリスクに直面する。ベラルーシ政府は、この残虐で非人道的で品位を傷つける刑罰を全面的に廃止し、反政府派や人権活動家を迫害する対応をやめるべきだ。

背景情報

5月18日、アレクサンドル・ルカシェンコ大統領は、「テロ行為の準備」に死刑を適用する法律を承認した。法律は公示から10日後に施行される。

4月にベラルーシ議会は死刑の適用範囲を拡大する法案を可決していた。これは、最近複数件発生した鉄道網の破壊工作事件に対応したものとみられている。

鉄道網を破壊する行為は、ロシアのウクライナ侵攻に反対する人たちが、ベラルーシに駐留するロシア軍のウクライナへの進軍を阻止するための戦術だと報じられている。

現地の人権団体ビアスナによると、政治活動をする数十人が「テロ準備」の容疑ですでに起訴されている。スベトラーナ・チハノフスカヤさんもその一人だ。亡命中のチハノフスカヤさんは反体制派の指導者で、一昨年の大統領選挙でルカシェンコ大統領と闘った。

ベラルーシでは通常、死刑は殺人の結果的加重犯に適用されるが、法律上は人命を奪うテロ行為に対しても対象にすることが可能だ。

アムネスティ国際ニュース
2022年5月19日

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