日本:2020東京五輪大会に向けて 性的指向・性自認による差別からの保護を定める法律を求める要請書

  1. ホーム
  2. ニュースリリース
  3. NGO共同声明
  4. 日本:2020東京五輪大会に向けて 性的指向・性自認による差別からの保護を定める法律を求める要請書
2021年1月25日
[NGO共同声明]
国・地域:日本
トピック:性的指向と性自認

2021年1月25日

内閣総理大臣 菅義偉殿

 

2020東京五輪大会に向けて 性的指向・性自認による差別からの保護を定める法律を求める要請書

 

私ども下記署名団体は、菅総理におかれまして、東京夏季オリンピック・パラリンピック競技大会に先立ち、性的指向・性自認による差別から日本の人びとを守る法律を導入するよう強く要請致します。

ご存じの通り、オリンピック憲章は「オリンピズムの根本原則」のひとつとして、性的指向を含む「いかなる種類の差別」も明示的に禁じています。また日本政府は、市民的及び政治的権利に関する国際規約及び経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約など、差別がないことを確保する政府の義務を定めた主要な人権諸条約を批准しています。

東京2020大会は「多様性と調和」と「未来への継承」などを基本コンセプトとしています。そして2015年3月18日のスピーチで前総理は、「差別をなくし、人権を重んじる決意をいよいよ堅固にする」と述べられました。

東京2020大会期間中には多くの人びとの来日が予想され、日本に対する世界の注目はこれまでになく高まると考えられます。これは、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー(LGBT)等の人びとの社会へのインクルージョンに向けた政府のコミットメントを示す重要な機会であります。

しかしLGBT等の人びとに対する法的保護にかける日本の現状は、オリンピック憲章、オリンピックアジェンダ2020、そして国際人権基準に合致しません。

ご存じの通り東京都は2018年10月、東京2020大会に先立ち、オリンピック憲章に沿って、LGBT等の人びとへの差別を禁止する条例(「東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例」)を制定しました。前向きな一歩ではありますが、日本政府としてはまだ、LGBTの人びとの保護を含む国レベルの差別禁止法をこれまで導入していません。

東京2020大会では、マラソン、競歩、ゴルフ、フェンシング、サーフィンなどいくつもの競技が、北海道、埼玉、千葉、静岡、神奈川、宮城、福島など東京都外で開催されます。都外では、LGBT等の日本のファン、アスリート、外国からの訪問者などに、東京都の差別禁止条例の保護の効力は及びません。

日本政府は、性的指向および性自認に基づく差別と暴力の廃絶を目指す2011年と2014年の国連人権理事会決議に賛成するなど、近年国連でリーダーシップを示しつつあります。しかし、日本のLGBT等の人びとが国内で厳しい社会的圧力にさらされる状況は続いており、他の先進諸国と比較してもその法的保護は十分とはいえません。

大会招致を獲得した2013年9月7日のIOC総会スピーチで、招致 ”Cool Tokyo” アンバサダーの滝川クリステルさんは、ユニークなホスピタリティである「おもてなし」で日本は皆を迎えると約束しました。「私たちは、日本を訪れる方々全員に生涯忘れられない思い出を提供することをお約束します」と。この総会には安倍前総理も同席され、「オリンピック運動を、真に信奉する」と約束されました。しかし、現在の法制度の下では、日本政府はLGBT等の人びとが「おもてなし」で迎えられないかもしれない状況を容認していることになります。

日本では近年、LGBT等の人びとの平等に対する国内の支持が急増しており、東京2020大会におけるインクルージブなホスピタリティは重要性を増しているといえます。日本の各種調査によると(例えば、電通や大阪市の調査)、日本では3-10%が性的少数者であると回答しており、また、日本の人びとの約83%が東京都のLGBT差別禁止条例を支持しています。

そこで私たちは、日本政府に対し、オリンピック憲章と国際基準に沿って、性的指向・性自認に基づく差別を禁止する法律を制定することを強く要請します。

要請事項は以下のとおりです:

  • 性的指向・性自認に基づく差別を禁止する法律を導入すると、直ちに公に約束すること
  • 性的指向・性自認による差別を禁止する法案の作成を指示し、東京2020大会に先立つ国会会期における成立に向けて国会に提出すること

以上

【署名団体名 (2021年1月25日現在)】

国内団体(102団体、アイウエオ順)

株式会社IRIS/あしたプロジェクト/NPO法人 ASTA/公益社団法人 アムネスティ・インターナショナル日本/特定非営利活動法人 akta /インクルーシブカフェ/SR LGBT &Allies/性と人権ネットワークESTO/ELLY 福井/ LGBT交流会「Rainbow View MIYAZAKI」(レインボービュー宮崎)/LGBT支援いしかわ会議/LGBT政策情報センター/LGBTとともに生きる弁護士の会・九州/LGBTの家族と友人をつなぐ会/LGBTのための自死遺族の会/LGBT法連合会/OLQ(大人のLライフクオリティ)/Over the Rainbow/親・家族・パートナーの会 にじいろSKY/NPO法人カラフルチェンジラボ/カラフルチャイルド/特定非営利活動法人カラフルブランケッツ/カラフル@はーと/川崎市なないろほたる/関西同士聯盟/共生社会をつくるセクシュアル・マイノリティ支援全国ネットワーク/くまにじ/高知ヘルプデスク/SA 和 CH!/GID Link/ジェンダーと労働研究会/NPO 法人 JASH 日本性の健康協会/女性と人権ネットワーク/株式会社 JobRainbow/信州大学セクシュアルマイノリティーサークルにじます/新設Cチーム企画/すこたんソーシャルサービス/Stonewall Japan/特定非営利活動法人 性同一性障害支援機構/性の多様性と教育広島連絡会/セクマイ・ダイバーシティ栗原(color calibrations)/NPO法人全国女性シェルターネット/ SOiGIEs(そいぎーず)/ソーシャルアライ・コナツハット/SOGIEサポートチーム ココカラ!/ソラニジ・アカシ/そらにじひめじ/ダイバーシティ信州/ダイバーシティズン/ダイバーシティ町家/ダイバーシティラウンジ富山/ダイバーシティ WakuWaku/多様性を対話する。lag/Tsunagary Café/てぃーだあみ/Take it!虹/Tokyo Deaf LGBT bond/NPO法人東京レインボープライド/同性パートナーシップネット/トランスジェンダーカフェ/中野LGBTネットワークにじいろ/「なくそう!SOGI ハラ」実行委員会/にじいろかぞく/にじいろCANVAS/にじいろスマイル/特定非営利活動法人虹色ダイバーシティ/にじ♡はぐ白山/ 24歳以下ユース向けLGBT交流会「にじいろのひなた。」/浜松トランスジェンダー研究会/非営利NGO パートナー共済/ハレルワ/Be my friend! LGBT/一般社団法人fair/一般社団法人フルーツインスーツ日本/プライドブリッジ/プラウド香川/FRENS/ VISION!〜for Transgender/町田市にじいろさざんか/一般社団法人 Marriage For All Japan/丸亀レインボーパレード/認定NPO法人魅惑的俱楽部/宗像財団/やる気あり美/横浜市ほたる/LOUD/レインボーアライアンス沖縄/レインボー金沢/特定非営利活動法人レインボーコミュニティcoLLabo/レインボーさいたまの会/NPO法人Rainbow Soup/レインボー逗子/Rainbow Tokyo 北区/特定非営利活動法人レインボーとしまの会/レインボーノッツ合同会社/レインボーハート富山/レインボーフェローズ長野/レインボーフォスターケア/レインボーポート向日葵/レインボー山口/れ組スタジオ・東京/若者UPキャンペーン

国際団体(13団体、ABC 順)

Athlete Ally / Athletes for Human Rights / All Out / Football Supporters Europe / Global Athlete / Human Rights Watch / ILGA World (The International Lesbian, Gay, Bisexual, Trans and Intersex Association) / ILGA Asia / The International Confederation of Trade Unions (ITUC)/ OutRight Action International / Transparency International Germany / World Players Association / Wrestle Like a Girl