- 2021年1月25日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:カンボジア
- トピック:
(C) AFP/Getty Images
解党されたカンボジア救国党(CNRP)の元党員など約150名に対する6件の裁判が、1月14日からプノンペンの裁判所で始まった。これほどの大規模な裁判は、公正な裁判に関する国際基準、カンボジアが果たすべき人権擁護義務、法の支配に真っ向から対立する。
被告人は、救国党の議員、活動家、支持者からなる。容疑は人によって異なるが、謀議、重犯の扇動、軍人への不服従扇動、犯罪の企てなどだ。その多くは、国外亡命中の救国党の元幹部が、2019年11月にカンボジアに帰国しようとしたことに関係する。犯罪の企てで有罪となれば、最大30年の刑になる。
野党政治家らは、犯罪者でないことを示すためにカンボジアへの入国をしようとしたが、拒否された。この事実自体が、裁判がいかに陰湿で見せしめであることを物語る。フン・セン政権は、政治的理由で拘束されているすべての人びとを直ちに無条件に釈放し、起訴を取り下げるべきだ。
政治的信条のいかんにかかわらず、誰もが公共の問題に関わり、他者と連帯し、平和的な集まりを持つ権利を有する。カンボジアは、平和的な反対勢力への執拗な抑圧をやめ、共通の関心事における多様な意見の表明を保障すべきだ。
背景情報
救国党は2017年から、米国と共謀してクーデターを扇動していると、フン・セン政権に糾弾されてきた。党首は起訴され、2017年11月には最高裁による救国党の解党にまで発展した。当時、アムネスティは、一連の動きを「露骨な政治弾圧であり、結社の自由の重大な侵害だ」と非難した。
それ以来、何百人もの救国党の活動家や支持者が、逮捕・起訴されてきた。また、多くの活動家が、何者かに襲われて怪我を負ったが、実質的に捜査はなかった。
カンボジア政府の報道官が1月8日、ラジオ・フリー・アジアに「当局は、外国に滞在中で帰国して出廷を考えている救国党の政治家には、入国許可を出さない」と語った。
カンボジアは国際人権規約の締約国であり、この規約は第22条で結社の自由の権利および25条で公的問題に関与する権利を保障している。
アムネスティ国際ニュース
2021年1月14日
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