中国:香港 国安法で初の有罪 表現の自由の終わりの始まり

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2021年8月 3日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:中国
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(C) Photo by Getty Images/Getty Images
(C) Photo by Getty Images/Getty Images

香港で昨年施行された香港国家安全維持法(国安法)違反の初の裁判で、香港の分離独立を扇動し、テロ行為を企てたとして罪に問われていた唐英杰さん(Tong Ying-kit )が、有罪判決を言い渡された。

唐さんの有罪判決は、香港人の人権にとって深刻な影を落とすことになった。7月27日の判決は、香港での政治的意見の表明が、れっきとした犯罪となり、終身刑にすらなることを明確に示した。

唐さんが、広く社会で使用されている政治的スローガンを書いた旗を掲げたために、香港の分離独立を扇動するとして有罪になったことは、明らかな脅威でない限りいかなる意見の表明も罪にはならないと定めた国際法に違反する。今回の判決は、あたかも、香港における表現の自由の終りの始まりを告げるかのようだ。

抗議運動での政治的スローガンの使用は、自由であるべきであり、言論の自由を行使しただけの唐さんが、処罰されることはあってはならない。特に、終身刑の可能性がある「国家の安全保障」に対する罪で起訴されるのは、論外だ。

香港当局は、国家の安全保障やテロ対策の名目で施行された法規定が、明確かつ狭義に定義され、その適用は国際的な人権法・基準に従っていることを確実なものとしなければならない。

背景情報

香港国家安全維持法が施行された初日の昨年7月1日、唐さんは「香港を取り戻せ 我らの時代革命だ」と書かれた旗を掲げ、警官隊がいる方向にオートバイを走らせた。

7月27日にあった香港高等法院の裁判で検察は、旗のスローガンは政府転覆の野望を表し、「中国からの分離をほのめかした」とみなせると決めつけた。

唐さんは、昨年7月6日から勾留されてきた。香港で176年にわたり行われてきた陪審員裁判を要求したが、司法長官は陪審員に危険がおよぶ可能性があるとして、認めなかった。

国際人権法では、政治的スローガンを掲げる権利は原則、合法的な意見の表明として保護される。

中国にならった香港国家安全維持法は、その定義が広範で、表現、集会、結社の自由の権利、公正な裁判・自由の権利を制限し、反対意見や政治的対抗勢力を抑圧するために恣意的に用いられている。

昨年7月1日から今年7月26日までで、同法違反で少なくとも138人が逮捕されたか、逮捕状が出されている。7月26日時点で、68人が正式に起訴され、うち51人は現在、勾留中だ。

アムネスティ国際ニュース
2021年7月27日

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