中国:香港教職員組合 苦渋の解散 激化する労組弾圧

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2021年8月18日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:中国
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(C) AFP/Getty Images
(C) AFP/Getty Images

8月10日、香港の教職員組合にあたる「香港教育専業人員協会」は、「巨大な圧力」に直面し、「この危機を乗り越えられない」として解散を発表した。香港の教職員の90パーセント以上が加盟する教職員組合が、48年の歴史を閉じる。

香港政府の教育局は7月31日、教職員組合が「政治的プロパガンダを広めている」と非難し、教職員組合との関係を断つと発表していた。また、その数時間前には、中国国営メディアが、教職員組合を批判する記事をいくつも掲載したが、その中には、組合を「悪性腫瘍」と形容し「消滅」させるべきと批判する記事もあった。

「国家安全保障」関連の捜査と中国国営メディアによる中傷の嵐の中、教育当局との関係を絶たれて追い詰められた教職員組合には、活動停止を決断するしか選択肢がなかった。

激しくなるばかりの批判を前に、教職員組合が行き場を失ったことは、反対意見に対する容赦ない弾圧で、市民社会が恐怖心に深く侵食されていることを物語る。

今回の件からは、団体や個人を標的にした声高で根拠のない非難に、香港当局がいとも簡単に耳を傾けてしまうパターンが見て取れる。

政治的敵対勢力を無力化してしまった今、中国当局と香港当局は、その矛先を強力な動員力を持つ市民社会の団体にも向けたようだ。現在も活動する他の組合にとっては、気が気ではない事態だ。

教職員組合への弾圧は、香港の学校や大学での表現の自由が急速に制限されていくことを意味する。教育の自由を促進する教育機関が、弾圧の対象になってはならない。

背景情報

国家安全維持法の制定以来、香港政府は、学校内での政府批判の排除に取り組んできた。

教育局は、政治的意見の表明や政治的意図があるとみなす活動を禁止した。また、教員が、表現の自由に関して生徒や学生間の議論を奨励する行為を禁じた。昨年11月には、学内での抗議活動に参加した学生3人が逮捕された。

2014年、民主化を求める「雨傘運動」が起こって以来、政党、教育機関、メディアなどへの弾圧が、年々激しさを増し、検閲や自己検閲の風潮につながった。この傾向は、昨年国家安全維持法が施行されてからさらに勢いを増している。

アムネスティ国際ニュース
2021年8月10日

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