- 2021年11月 8日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:中国
- トピック:中国の人権
中国武漢で新型コロナウイルスの感染拡大が始まった当初、武漢を訪れ、ただならない状況をソーシャルメディアで伝えた市民記者、張展(Zhang Zhan)さんが、今、命を落とすかもしれない事態に直面している。不当な勾留・収監に抗議して長期間ハンガーストライキをしてきたにもかかわらず、保釈も適切な治療を受けることも許されなかったからだ。
元弁護士の市民記者、張展さんは昨年2月、武漢に入り、独立系メディアの記者が拘束され、感染者の家族が当局の嫌がらせを受けていることをソーシャルメディアで投稿した。昨年5月に、行方がわからなくなった。後に、当局に連行されて上海で拘束され、騒乱挑発容疑で起訴され、見せかけの裁判で昨年12月、懲役4年の実刑判決を言い渡されていたことが明らかになった。
中国で市民記者は、新型コロナウイルス感染症に関して、検閲を受けていない生の情報を得るための重要な情報源だった。一方、政府が公表されたくない情報を暴くがゆえに、常に嫌がらせを受ける。
張展さんは、感染拡大の中での国の対応をSNSで報じただけであり、なんの罪も犯していない。SNSで伝える行為の摘発は、まぎれもない表現の自由の権利の弾圧だ。
中国当局は、張展さんがハンストをやめ、適切な治療を受けられるよう直ちに釈放しなければならない。
張展さんは昨年6月からハンストに入った。体力は衰え、昨年12月の公判には車椅子で出廷した。
頑なにハンストを続ける張展さんに業を煮やした刑務官に3カ月以上にもわたり手足を束縛されることもあった。公判前には無理矢理、栄養チューブを付けられ、チューブが外せないように縛り付けられた。
今年7月末、栄養失調が深刻化したため、病院での診察を認められた。その後も何度か、身の危険を承知でハンストに入ったため、体調の悪化が進んだ。家族は、張展さんが直ちに釈放されなければ、この冬を越すこともできないだろうと危惧している。
公判開始以来、張展さんは、弁護人や家族との対面での面会を認めらなかった。監視下での電話やビデオ通話が、時に許されるだけだった。
張展さんの兄は10月30日に「妹は、この冬を越せるかどうかわからない。妹のことを覚えておいてほしい」とツイッターに投稿した。
アムネスティは、世界最大の人権イベント、ライティングマラソンを毎年12月の人権デーの前後に実施するが、今年は対象者の1人に張展さんを取り上げ、即時釈放を求める。表現の自由の権利を行使しただけで収監された張展さんが、即時無条件で釈放されるのは当然だ。
政府当局は、張展さんを釈放するまでは、家族や私選弁護人との面会を制限なく認め、また虐待や暴力を受けないよう、適切な対応を取らなければならない。もし、張展さんの命が尽きるようなことがあれば、その責任は中国政府にある。
背景情報
中国で投獄された活動家が、収監中や入院中に亡くなることが多いのには驚くばかりだ。
2017年、人権活動家でノーベル平和賞受賞者の劉暁波(Liu Xiaobo)さんは、海外での癌の治療を希望したが受け入れられないまま、息を引き取った。
同じ年、作家で政府に批判的な楊同彦(Yang Tongyan、ペンネームは楊天水)さんは脳腫瘍を患い、仮釈放され摘出手術を受けたが、3カ月後に亡くなった。
活動家の曹順利(Cao Shunli)さんは、2014年に数カ月間の拘束中、適切な治療を受けられずに臓器不全で死去した。
アムネスティ国際ニュース
2021年11月4日
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張展さんへの励ましの手紙/ハガキを送り、また、習近平国家主席に張展さんの即時釈放を要請してください。詳細は下記のPDFをご覧ください。
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