米国:人権派弁護士がようやく自由に スラップ訴訟への対抗手段が急務

  1. ホーム
  2. ニュースリリース
  3. 国際事務局発表ニュース
  4. 米国:人権派弁護士がようやく自由に スラップ訴訟への対抗手段が急務
2022年5月 9日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:米国
トピック:

不当な有罪判決で禁錮6カ月の実刑を受け在宅拘禁中だった人権派弁護士スティーブン・ドンジガーさんが4月25日、刑期を満了し自由の身となった。

2011年、エクアドルでの環境汚染をめぐり、石油大手シェブロン社を相手取った集団訴訟で住民が勝訴した。原告側弁護人の1人だったドンジガーさんはシェブロンから提訴され、不当な司法手続きにより、判決前の自宅軟禁を含めると1000日近く恣意的に拘束された。有罪判決後45日間収監され、その後は在宅拘禁となっていた。

ドンジガーさんに対する仕打ちは、企業の過ちを暴いたことへの報復であることは明らかであり、ドンジガーさんは1日たりとも拘束されてはならなかった。

刑期を終えて自由になったからといって、ドンジガーさんがさまざまな権利を侵害された問題は終わったわけではない。

恣意的拘禁に関する国連の作業部会は、ドンジガーさんが拘束と収監に至った経緯の公平かつ独立した調査の実施などを求めている。米国政府はこのようなことが二度と起こらないようにこれに従い、また反スラップ法を速やかに制定して企業の犯罪を告発する個人・団体を企業の圧力から保護するべきだ。企業が、その不当行為を暴く個人を威圧し発言を抑え込む目的で、司法制度を乱用するようなことがあってはならない。

背景情報

スラップとは、自社を批判する個人やジャーナリスト、市民団体などを相手に威圧や口封じを意図して企業が起こす訴訟をいう。

企業がスラップ訴訟を起こすのは、評判や名誉を保護するためとは限らない。むしろ、個人や団体を威嚇し、経済的、心理的に消耗、疲弊させることに狙いがある。法的措置に対抗するための費用や手間をかけさせることによって、人権活動の力を削ごうというのだ。

また、スラップ訴訟では、環境や人権の問題から名誉毀損に争点をすりかえることができ、これも企業にとって都合がよい。

アムネスティ国際ニュース
2022年4月25日

英語のニュースを読む

関連ニュースリリース