- 2025年9月11日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:ネパール
- トピック:表現の自由
ネパールで汚職とSNS禁止に抗議する若者主導のデモが弾圧され、報道によれば少なくとも19人が死亡、100人以上が負傷した。
アムネスティは、ネパールの法執行機関による違法な致死性・非致死性武力の行使を強く非難する。当局には最大限の自制を求める。法執行機関の武力行使は絶対に必要な場合にのみに限られ、やむを得ず行使する場合はその被害が達成しようとする正当な目的と比較して過大であってはならない。当局はまた、武力行使を回避するための可能な限りあらゆる予防措置を講じ、避けられない場合には被害を最小限に抑えるべきである。
さらに、政府に対し、状況を速やかに鎮静化し、抗議活動への取り締まりにおいて人権尊重の観点で対応するよう強く要請する。政府は死亡事例について、直ちに公正かつ独立した調査を徹底して実施し、刑事訴追を含むあらゆる手段で責任を追及しなければならない。また、法執行機関や治安部隊による違法な武力行使の被害者が、国家から完全かつ効果的な賠償を受けられるようにすべきだ。
市民には、汚職やソーシャルメディアの禁止など政府による表現の自由の制限に対する不満、怒りを表明し、平和的に抗議する権利がある。ネパール当局には、国際法上の義務と自国憲法に則ってこの権利を尊重し、さらなる危害からすべての抗議者を保護する責務がある。政府は、腐敗撲滅、責任追及、市民的自由の保障という若者たちの正当な要求に真摯に耳を傾けるべきであり、彼らに対してこのような見境のない暴力を振るうことは許されない。
背景情報
9月4日、ネパール政府は「ソーシャルネットワーク利用管理指令(2023年)」で義務付けられた登録手続きを遵守しなかった主要SNSに対し、禁止措置を発動した。
9月8日、主にZ世代の抗議者らが街頭に出て、汚職撲滅と政府によるSNS禁止措置の解除を要求した。一部の抗議者が「制限区域」を突破し議事堂敷地内に侵入したことで事態は悪化。警察は放水、催涙ガス、ゴム弾、実弾で対応し、少なくとも19名が死亡、数百名が負傷した。
生命などに対し差し迫った脅威とならない抗議者に対する致死的な武力行使は、国際法の重大な違反である。世界人権宣言第3条は、生命、自由、および人身の安全に対する権利を保障しており、市民的および政治的権利に関する国際規約(自由権規約)第6条は、生命に対する固有の権利を定めている。国連「法執行官による武力および銃器の使用に関する基本原則」は、銃器は、命や身体の安全を脅かす差し迫った危険に対する防衛のためのみに使用することができると明確に定めている。
アムネスティ国際ニュース
2025年9月8日
英語のニュースを読む
- Independent investigation and accountability needed following deadly crackdown on ‘Gen Z’ protesters
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