- 2026年6月17日
- [その他]
- 国・地域:カナダ
- トピック:ビジネスと人権

© Alli McCracken
アムネスティ・インターナショナル日本は2026年4月30日、三菱商事株式会社に対して、同社が出資する LNG カナダ事業について懸念を伝え、同事業第2フェーズへの資金提供を中⽌するよう要請する書簡を送付しました。この事業に関する人権侵害については、数年にわたり先住民族コミュニティやアムネスティ・カナダを含む数々の団体が繰り返し抗議の声を上げています。過去の関連記事は こちら
>[全文] アムネスティの書簡と三菱商事の5月22日付の回答
アムネスティの今回の書簡では以下の懸念を伝えています:
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ガス採掘事業「LNG カナダ」に不可欠である Coastal GasLink(CGL)パイプラインと関連インフラの建設および拡張計画は、 カナダの先住民族 ウェトスウェッテン(Wet'suwet'en)の先祖代々の土地を貫通している。なお、この土地はカナダや英連邦に一度も明け渡されたことが無い区域である。CGL パイプラインの建設は、ウェトスウェッテンの人びとから「自由かつ事前の、十分な情報に基づく同意(FPIC)」を得ることなく進められている。これは、国際法に規定され、カナダ連邦法およびブリティッシュコロンビア州法に組み込まれている先住民族の権利を侵害している。
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三菱商事による LNG カナダへの資金提供は、ウェトスウェッテンの土地の外にある LNG 輸出基地を対象としている。しかし、輸出基地は CGL パイプラインと関連インフラなしでは稼働できない。そのため、輸出基地の維持、運行に関する資金提供をする結果として、一連の関連インフラ、特にウェトスウェッテンの土地に建設が強行された CGL パイプラインの負の影響を助長し、維持することになる。
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この事業が強行され続けていることで、過度な監視や威圧的な監視、嫌がらせや脅迫、そして過度に軍事化された警察による家宅捜索や不当な逮捕が行われている。また、パイプラインの建設や操業によって土地が損なわれたため、多くの伝統的な活動や、文化的な儀式を行うことができなくなっている。これは、平和的集会の自由、自己決定権、プライバシー権、クリーンで健康かつ持続可能な環境に対する権利、ならびに⽂化遺産、伝統的知識、伝統的⽂化表現を維持、管理、保護、発展させる権利を含む先住民族の人権の侵害にあたる。
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CGLの「第2フェーズ」で提案されているパイプラインの拡張計画と追加インフラの建設が人権侵害をさらに悪化させる可能性が高い。
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CGLパイプラインの建設による生態系破壊が深刻である。また、LNGなどの化石燃料採掘事業の継続的な拡大は気候変動を助長し、世界中の人や生態系にも害を及ぼす。LNGは20 年間で、二酸化炭素の 80 倍以上の地球温暖化係数を持つメタンを大量に排出する。その上、LNGカナダ事業は、水圧破砕法で採掘されたガスや化石燃料を動力源とするインフラに依存している。ウェトスウェッテンの世襲制首長は既に、深刻化する山火事、有毒な煙による野生生物の生息地破壊、冬の温暖化、雪解けの早期化、および不安定な水位などの被害を報告している。ウェトスウェッテンの人びとは、ガスインフラの建設によって引き起こされる被害と、同事業によって採掘されたガスの輸送・利用によって引き起こされる気候被害の両方の最前線に立たされている。
- 国際法と国際人権基準、カナダ連邦法および州法で認められている先住民族の権利、国連のビジネスと人権に関する指導原則にみる企業の人権責任のいずれの枠組みに照らしても、企業は、先住⺠族が直⾯する特有の課題を認識し、先住民族に影響を及ぼす事業活動に関する人権デュー・ディリジェンスなどを通じて、その権利が保護されるよう措置を講じるべきである。事業の気候変動・環境への影響に関しても同様である。
三菱商事は「事業活動を⾏う国・地域の法律や国際的な取り決めに定められた先住民及び地域住民の権利や文化を尊重し、事業活動が土地の収奪などの権利侵害を引き起こし、又は助長することがないよう取り組む」ことを自社の人権方針で掲げています。アムネスティは三菱に対し自社の方針および国際⼈権法と人権基準に従い、 LNG カナダ事業第2フェーズへの資金提供を停止するよう求めました。
アムネスティが三菱商事に対し求めていること:
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LNG カナダの運営に不可欠な CGL パイプラインを含む LNG カナダの施設および関連パイプライン、コンプレッサーステーション、その他関連インフラの建設における人権侵害を防ぐため、LNG カナダへのさらなる資金提供を直ちに停⽌すること。
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ウェトスウェッテンの⼈びとが受けている LNG カナダおよび関連インフラによる被害に対処し、被害を軽減するために自社の影響⼒を行使すること。その際、 ウェトスウェッテンの世襲制首長およびその氏族と直接対話し、救済と賠償など、責任を果たすのための適切かつ具体的な措置を講じること。
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自社の影響力を行使し、CGL 社に対し、ウェトスウェッテンの人びと の土地に現在建設が提案されているコンプレッサーステーションの建設および CGL パイプラインの使用を直ちに停止するよう強く求めること。
- 三菱商事の ESG および気候変動対策の枠組みの一環として、新規および拡張される LNG インフラへの資金提供を制限する包括的な方針を策定すること。
三菱商事の回答(アムネスティ訳の和文は下に記載しています)
Dear Mr. Mark Dummett
We trust this message finds you well.
We acknowledge receipt of your letter titled "CALL FOR DIVESTMENT FROM THE EXPANSION OF LNG CANADA PHASEⅡAND THE COASTAL GASLINK(CGL) PIPELINE " dated 30 April 2026.
First and foremost, Mitsubishi Corporation believes that respect for human rights is fundamental to doing business globally.
In line with internationally recognized frameworks such as the UN Guiding Principles on Business and Human Rights, we recognize the importance of identifying and analyzing potential negative impacts of our business on human rights and the environment, ensuring such impacts are avoided or mitigated, and fulfilling our responsibilities in this regard.
With respect to LNG Canada, Phase 1 was developed and completed in compliance with all applicable laws and regulations, following comprehensive regulatory processes and with all required permits in place. Phase 2 continues to progress in compliance with all applicable legal and regulatory requirements.
Throughout its development, LNG Canada, together with its shareholders including Mitsubishi Corporation, maintains a strong focus on environmental stewardship, Indigenous engagement, and community consultation, incorporating industry-leading environmental protection measures into the facility's design and operations across the site.
As a shareholder, our role is to support the project company through appropriate governance and oversight, while respecting the responsibilities of the operator.
We would also like to note that the LNG Canada's LNG facility in Kitimat is not located within Wet'suwet'en traditional territory. For matters related to Coastal GasLink, which is owned and operated by Coastal GasLink, we recommend contacting the operator directly.
As for framework for carbon neutrality, to optimize our portfolio toward carbon neutrality, we have embedded climate-related risks and opportunities into our strategy and investment decisions through a dedicated framework. We continue to assess the environmental and social impacts of our business activities across the investment lifecycle.
Sincerely,
Mitsubishi Corporation, Sustainability Department
マーク・ダメット様
平素よりお世話になっております。
2026年4月30日付の書簡「CALL FOR DIVESTMENT FROM THE EXPANSION OF LNG CANADA PHASE II AND THE COASTAL GASLINK (CGL) PIPELINE」を受領いたしましたので、ご連絡差し上げております。
まず、三菱商事は、人権の尊重がグローバルに事業を遂行する上での基本的かつ重要な責務であると認識しております。
当社は、ビジネスと人権に関する国連指導原則をはじめとする国際的な枠組みに沿って、事業活動が人権および環境に及ぼし得る負の影響を特定・評価し、当該影響の回避または軽減に努めるとともに、その責任を適切に果たすことの重要性を認識しております。
LNG Canadaプロジェクトにつきましては、フェーズ1においては事業に適用されるすべての法令および規制を遵守し、包括的な許認可・審査手続を経たうえで、必要な許認可を取得して開発・完工されております。
また、フェーズ2についても、適用される法令および規制上の要件を遵守しながら進められております。
LNG Canadaおよび当社を含む出資者各社は、事業の推進にあたり、環境保全、先住民族との対話および地域社会との協議を重視しており、施設の設計・運営において業界最高水準の環境保護措置を取り入れております。
当社の出資者としての役割は、事業運営に関する責任および権限が事業運営者に帰属することを尊重しつつ、適切なガバナンスおよび監督を通して事業会社をサポートすることであると認識しております。
なお、LNG Canadaの液化天然ガス施設が所在するキティマット地区は、Wet'suwet'enの伝統的領域内には位置しておりません。また、Coastal GasLinkパイプラインに関する事項につきましては、同事業を所有・運営するCoastal GasLink社へ直接お問い合わせいただくことをお勧めいたします。
カーボンニュートラルへの対応につきましては、当社はポートフォリオ全体をカーボンニュートラルの実現に向けて最適化するため、その一環として、気候変動に関連するリスクおよび機会を投資判断および事業戦略に組み込むための社内フレームワークを整備しております。
投資検討から事業運営に至るライフサイクル全体を通じて、事業活動に伴う環境・社会面への影響について継続的な評価の実施を続けております。
三菱商事株式会社
サステナビリティ部
[日本語字幕付き]動画 INVASION
クレジット:UNIST'OT'EN CAMP
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