- 2026年9月17日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ
- トピック:地域紛争
イスラエルがパレスチナ人に対してジェノサイドを行っていると国際司法裁判所(ICJ)に提訴した件で、南アフリカは、ICJ出した法的拘束力を持つ暫定措置命令をイスラエルが履行していないことを示す証拠書類を提出した。これを踏まえ、各国は、イスラエルが命令に従うよう圧力を強めるべきだ。
イスラエルがICJが命じた措置に従っていないという南アフリカの主張は、アムネスティの調査結果と一致している。
2024年1月にICJが最初に暫定措置を命じて以降も、イスラエル当局は、ジェノサイド条約の下で保護されているパレスチナ人の権利に、取り返しのつかない損害を与え続けてきた。そして裁判所命令の措置を実施するどころか、ガザのパレスチナ人に対するジェノサイドを継続している。2025年10月のいわゆる停戦後でさえ、ジェノサイドを続けており、裁判所命令と国際法の下での法的義務を完全に無視している。
多くの国がジェノサイドの防止に向けた行動を取らず、中にはそれを助長してきた国さえある中で、南アフリカの今回の証拠提出は際立ったものだ。多くの第三国は、裁判所の拘束力ある暫定措置命令の履行に向けた実効的な措置を講じないことで、また一部の国は、ジェノサイドを可能にしてきた外交的な後ろ盾や資金、物的支援を積極的に提供することで、イスラエルの不処罰を支えてきた。その間も国際社会は、イスラエルによる違法な占領やアパルトヘイト制度、さらに占領下のヨルダン川西岸地区C地区(行政も治安もイスラエルが実権を持つ)におけるパレスチナ人に対する民族浄化政策を前にして、無関心であり続けてきた。
イスラエル当局は、ガザのパレスチナ人を全体として、あるいはその一部を身体的に破壊する結果を招く生活条件を意図的に課し続けている。必需物資の搬入と配布を厳しく制限し、医療品や医療機器、栄養バランスの取れた食料、十分な燃料、再建・修復に必要な資材の供給を阻むとともに、人道機関による人命救助活動も妨げている。これは、ICJが2024年1月にイスラエルに対して命じた「緊急に必要とされる基本的なサービスと人道支援の提供を可能にするため、即時かつ効果的な措置を講じること」に違反する。この命令は2024年3月と5月にもあらためて確認された。
イスラエルは、ガザにおける自らの違法行為を記録・報道していたパレスチナ人報道関係者を殺害し、国際メディアや人権調査団、国連の委任を受けた機関がガザ地区に立ち入るのを阻止している。また、自国の最高裁の判決にもかかわらず、赤十字国際委員会がパレスチナ人拘禁者と面会することも認めていない。このようにイスラエルはガザにおける違法行為の全容を覆い隠し続け、ジェノサイドの疑いに関する証拠を保全するよう求めたICJの命令に違反している。
さらに、ジェノサイドを容認・扇動する発言を行った有力政治家を捜査も起訴もせず、パレスチナ人の人間性を否定するような言説の拡散を助長。ジェノサイドを公然と扇動する行為を防止し処罰するよう求めたICJの命令にも違反している。
いわゆる停戦後、人道状況はやや改善し、攻撃の規模と激しさが減少したとはいえ、イスラエルによる犠牲者を伴う空爆や民間施設の大規模な破壊、大規模な強制移動、パレスチナ人の殺害は今も続いている。2025年10月のいわゆる停戦以降、300人の子どもを含む少なくとも1,303人のパレスチナ人が、イスラエルの攻撃で命を落とした。
ガザでは数万人のパレスチナ人が、人生を一変させるような身体的負傷や精神的苦痛を負い、長期的な治療とリハビリを必要としているが、そうした医療はガザでは受けられない。ガザ住民のほぼ全員が避難を余儀なくされ、多くは何度も移動を強いられている。さらにイスラエルは、再建を妨げるとともに、ガザ地区の約65%に軍や地元民兵を展開し、避難したパレスチナ人が自宅や土地に戻ることを阻んでおり、自らが作り出した住居危機をさらに深刻化させている。帰還を妨げられている地域には、ガザを分断する、絶えず位置を変えながら拡大する境界線「イエローライン」の東側も含まれる。
この厳しい現実は、ガザのパレスチナ人の保護が急務であること、そしてイスラエルにジェノサイド条約上の義務を直ちに履行させなければならないことを、あらためて示している。
すべての国は、イスラエルに国際法違反をやめるよう圧力をかけ、ICJの暫定措置の履行を促すとともに、パレスチナ占領が国際法違反であるという2024年7月のICJ勧告的意見に従い、武器移転や軍事支援を停止し、違法占領の維持を助長する貿易や経済関係を終了しなければならない。特に、アムネスティは南アフリカに、一般炭の海上輸送含め、人権侵害に加担しかねないイスラエルとの貿易協定を停止するよう求めている。
背景情報
南アフリカがイスラエルをジェノサイド条約違反で提訴した現在継続中の審理でICJは、2024年1月26日の命令で、ガザのパレスチナ人がジェノサイド条約で禁じられたジェノサイド行為および関連行為から保護される権利には十分な根拠があると認めた。そして、この権利を取り返しのつかない形で損なわれるのを防ぐため、法的拘束力のある暫定措置を命じた。
裁判所は2024年1月、3月、5月の3回にわたり暫定措置を命じている。内容はいずれもイスラエルに対し、ジェノサイド行為を阻止すること、公然かつ直接のジェノサイド扇動を防止・処罰すること、基本的なサービスと人道支援物資が妨げられることなく提供されるようにすること、さらにジェノサイド行為の疑いに関する証拠の破壊を防ぎ、その保存を確保することを求めるものであった。
2024年5月24日の命令では「ガザのパレスチナ人集団に、その身体的破壊をもたらしかねない生活条件を課すおそれのあるラファ県での軍事攻勢およびその他のあらゆる行為を停止すること」と命じた。しかしイスラエルは命令に従わないばかりか、さまざまな時期にガザに包囲状態に等しい状況を課し、ガザ地区への絶え間ない攻撃を続けている。2025年の停戦以降、イスラエルはガザでの行為がもたらした破壊的で累積的な被害を是正するための必要な措置を意図的に講じず、ジェノサイドは今も続いている。
アムネスティ国際ニュース
2026年9月1日
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