イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ:安保理はガザ紛争に巻き込まれた民間人を見捨ててはならない

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2009年1月 5日
国・地域:イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ
トピック:地域紛争
アムネスティ・インターナショナルは本日、国連安全保障理事会に対し、ガザ地区およびイスラエル南部でますます深刻化する状況に、断固とした、そして決然たる行動をとるよう求めた。

「ガザ地区での破壊と民間人の犠牲は、今までにない規模で行われている。国連安全保障理事会は沈黙してはならない。安保理は行動できるし、またそうしなければならず、一刻の猶予もない」と、アムネスティ中東・北アフリカ部長のマルコム・スマートは強調した。

とりわけ、数カ月にわたる封鎖とイスラエルによる継続的な攻撃の最中、人道危機の悪循環に直面しているガザ地区に取り残されたパレスチナの民間人150万人の安全への懸念が一層高まっている。

「国連安保理には、紛争当事者が国際人権法と人道法を尊重することを保証するよう促す重要な責任がある。イスラエルとハマス双方による民間人攻撃を非難し、このような攻撃を即刻中止するよう要求する、断固とした決議を緊急に採択することが肝要だ」と、マルコム・スマートは述べた。

アムネスティは、薬、食糧、燃料、その他市民の苦しみを軽減するために緊急に必要な必需品などの人道援助がガザ地区に入ることを制限を解除するよう、また人道援助・人権活動家やジャーナリストが制限なしにガザ地区に入ることを許可するよう、国連安保理がイスラエルに要求すべきだと述べた。

「ほんの2、3の例外を除いて、人道援助活動家とジャーナリストは11月初旬からイスラエル軍によってガザに入ることを禁じられている。人道援助のニーズを客観的に査定し、国際法違反など現地の状況を報告するためにも、今まさに彼らの存在が緊急に必要となっている」とマルコム・スマートは強調した。

アムネスティはまた、国連安保理に国際監視団の派遣を検討するよう求めた。

「双方の民間人は重い代償を払い続けている。国際監視団が派遣され、その機能がガザ地区におけるイスラエルとパレスチナ当局が国際法を守っているかどうかを検証していくものであるなら、その代償は軽減される可能性がある」とスマートは述べた。

背景情報:
12月27日以降、イスラエルによる空爆などで、500人を超えるパレスチナ人が死亡した。このうち非武装の民間人は100人以上、子どもも多数含まれている。また戦闘に関与していなかった文民警察官の犠牲者も165人ほど含まれる。パレスチナ人の民間人負傷者は2000人を超えている。イスラエルによる攻撃の多くはハマス幹部らパレスチナ戦闘員を狙い、殺したものだが、軍事目的に使用されていない民間の建物を目標とした攻撃も行われている。イスラエルは、警察訓練生などの民間人を標的としたり、無差別攻撃を行なったりして、民間人を途方もない危険にさらし、多大な犠牲者を出している。民間人の密集地域への重火器使用と、1月3日に始まったイスラエル軍による地上侵攻で、民間人犠牲者の数はさらに増えると予測される。

同じ期間にイスラエル側は、5人の死者を出した。このうち3人は民間人で、ガザ地区の武装勢力によるロケット弾攻撃の犠牲者である。

イスラエルの空爆で殺された中には次の人びとがいる。

・8歳のアベド・ラッボ・アルアスタル、12歳の兄のムハンマド、彼らの従兄弟である10歳のアブド・アルサッタルは、ハンユニス(ガザ南部)の東にあるアルカララ村の家の近くで1月2日午後に遊んでいた時に殺された。・13歳のスジュド・ダルドサウィは1月2日、ガザ市シャジャイヤ地区の自宅にいた時に致命傷を負った。・医師のイハブ・アルマドゥンと同伴していた医療補助員のムハンマド・アブ・ハシダは、12月31日、ガザ市東部での初期の攻撃で負傷した人びとを避難させようとしている時に殺された。空爆は彼らが乗った救急車も破壊した。・ガザ北部にあるインターナショナル・スクール(一般にはアメリカン・スクールとして知られているが、米政府とは無関係)がイスラエルの空爆によって破壊された1月3日、夜警一人が殺された。この学校はガザで最良の私立教育施設の1つとして知られており、数百人の子どもたちを幼稚園から12歳になるまで教育している。

空爆に加えて、イスラエル軍は大砲も使用したが、この攻撃方法は着弾点が不正確であることで悪名高く、人口密集地域に向けて絶対に使うべきではない。ガザ沿岸の砲艦からの攻撃も同様である。

イスラエルがガザ地区上空から撒いたビラには、住民に避難するよう警告が書かれていた。しかし住民は、物理的に移動を妨げられているため、パニックと混乱が起きている。イスラエル軍からパレスチナ人に、家を離れて避難するよう警告する電話がかかってきたように、このビラもまた、ガザ地区全体に手当たり次第に撒かれたようだ。

ガザ地区住民で、パレスチナ自治政府のアッバス大統領率いるファタハ支持者は、アムネスティにこう語った。

「私の子どもたちもビラを見て怖くて震えあがり、家を離れたいと言います。しかし、行く当てはありません。私たち家族も、妻の家族も、イスラエルとの境界近くの、より危険な地区に住んでいます。家の外にいることもできません。同じくらい危険ですから。通りを歩いていたり遊んでいたりした子どもたちが殺されました。電気もなく、食べ物も見つけられず、家にいることさえ安全ではないのです。私たちは、ハマスとは何の関係もありません。私はハマスに拘束され嫌がらせを受けましたが、イスラエルの爆撃は無差別です。誰も安全ではありません」

2007年6月から継続して行われてきたイスラエルによるガザ地区封鎖が引き起こした人道危機は、この2週間の戦闘でますます悪化した。国連や国際援助機関は、食糧や最も基本的な必需品が深刻に不足していると報告している。国際赤十字委員会によれば、イスラエルの爆撃が水道管を損傷したため、安全な飲み水を手に入れることができにくくなった人びとがいる。また、病院では主な薬が不足している上に、不安定な発電機に頼っていると伝えている。ガザ小児病院では、爆風でほとんどの窓ガラスが割れ、寒さをしのぐためにビニールシートがかけられているという。1月2日の空爆でガザ市南部のヌセイラット難民キャンプの3万人の住民への水供給パイプが損傷を受けた。イスラエルの攻撃が続いているため、修理しようとすることも極めて危険である。

アムネスティ発表国際ニュース
2009年1月5日