日本:死刑執行に対する抗議声明

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2015年6月25日
[日本支部声明]
国・地域:日本
トピック:死刑廃止

アムネスティ・インターナショナル日本は、本日、名古屋拘置所の神田司さんに死刑が執行されたことに対して強く抗議する。国家が生命を奪うという最も残虐で究極的な人権侵害は直ちにやめなければならない。

上川陽子法務大臣が昨年10月に就任してから、初めての執行である。しかし、安倍政権下では2006年の第1次安倍内閣時と合わせて約3年半で通算22人を処刑している。

今年1月に行われた死刑制度に関する世論調査では、「死刑もやむを得ない」とした者が全体の80.3%と高い支持率であった。これを受け、上川法務大臣は肯定的な結果が示されているとし、1月27日の記者会見で凶悪犯罪の発生を考慮すると直ちに見直しは行わない、と述べている。しかし、死刑制度は、生きる権利という最も重要な権利を奪うものである。世論調査によりかかって、議論を避けるべき問題ではない。

死刑は、もはや国際的には、非人間的で残酷な時代遅れの刑罰とされ、廃止の流れは確実になっている。前述の会見において、大臣は、「あくまで国の在り方に関わること」と述べ、国際的な批判は受け入れない姿勢を示した。

ところが、今年3月14日の所信表明においては、人権の尊重という普遍的価値の維持とともに、時代の変化に対応するとの決意を新たにしている。時代の変化に対応するというのであれば、死刑廃止に向けた国際的な潮流を考慮すべきであって、まったく省みることなく死刑を執行することはあり得ない。

アムネスティの調査によれば、2014年、死刑廃止国は140カ国(法律上・事実上の廃止を含む)であり、死刑存置国は58カ国となっている。そのうち、2014年に執行を行った国は22カ国であって、世界中でわずか10%にすぎない。執行国はまさに、「少数派の中の少数」である。なぜこれほど多くの国が死刑に反対し、死刑を廃止しているのか、日本政府は熟慮しなければならない。そして、かたくなに独自路線を貫くのではなく、冷静に開かれた議論を行うべきである。

アムネスティは、あらゆる死刑に例外なく反対する。死刑は生きる権利の侵害であり、残虐で非人道的かつ品位を傷つける刑罰である。日本政府は、国際人権諸条約の締約国として、自由権規約委員会の勧告や国連総会決議に応える国際的な義務を負っている。アムネスティは、日本政府に対し、死刑廃止への第一歩として公式に死刑の執行停止措置を導入し、全社会的な議論を速やかに開始することを要請する。

2015年6月25日
アムネスティ・インターナショナル日本

※死刑執行抗議声明における「敬称」について アムネスティ日本は、現在、ニュースリリースや公式声明などで使用する敬称を、原則として「さん」に統一しています。また、人権擁護団体として、人間はす べて平等であるという原則に基づいて活動しており、死刑確定者とその他の人々を差別しない、差別してはならない、という立場に立っています。そのため、死刑確定者や執行された人の敬称も原則として「さん」を使用しています。