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英国:国が企業犯罪を承認

2015年7月31日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:英国
トピック:企業の社会的責任

英国当局がアムネスティ・インターナショナルに返してきた返答は、驚くべき内容だった。「多国籍商社大手のトラフィグラ社が、コートジボワールで有害廃棄物を投棄したという疑惑を捜査するには、手段も資源も専門知識も持ち合わせていない」という。

2006年8月、コートジボワールの首都アビジャンで有害廃棄物が廃棄された。投棄された廃棄物の影響で、10万人以上が病院で診察を受けた。コートジボワール当局は、少なくとも15名が死亡したと発表している。

この投棄を指示していたのが、トラフィグラ社のロンドン勤務社員である可能性を示す多数の証拠がある。アムネスティは、こうした証拠を5,000頁に及ぶ調査資料にまとめ、告発文書ともに、2014年3月に英国の関係当局に提出した。冒頭の発言は、この書類の内容を検討した後の当局の反応である。

英国当局には、この事件の捜査にあたり、方策も専門知識も資源もないという事実は、誠に衝撃的である。これは多国籍企業に対し、「海外では好きなように企業犯罪をしていいですよ」というのと同然である。

有害廃棄物の投棄は、アビジャンの住民にとって大惨事であり、英国当局の不作為は、正義と責任という点で深刻な問題である。政府は、大企業に怯んでいないことを示す必要がある。

調査資料が明かす英国当局の無能

今回アムネスティが公表した英国政府の書簡は、英国の3つの法執行機関が、アムネスティが要請した有害廃棄物の調査を1年以上もたらいまわしにしていた事実を示している。

アムネスティは2014年3月、法務チームが外部の専門家の協力を得て調査資料を作成し、事件をロンドン警視庁、検察庁、環境庁に告発した。

ロンドン警視庁からは応答がなかったが、検察庁は環境犯罪捜査の責任機関である環境庁に告発文書を回した。

「検討」と言い訳で数カ月間が過ぎたため、アムネスティが司法審査手続きを取ることも辞さない態度を示すと、ようやく環境庁が事件の捜査に同意した。

しかし、環境庁は2015年3月17日、アムネスティの申し立てが真実であれば、企業の行為は重大な犯罪であることを認めながら、捜査をしないという決定を下した。また、環境庁は「捜査のための資源と専門知識に欠ける一方で、トラフィグラにこの捜査を妨害する能力があることを考慮した」と認めている。

企業の責任が問われない

アムネスティは今回、企業犯罪に取り組む英国の制度に重大な欠陥があることを明らかにした。告発文書は、トラフィグラの事件は決して偶発的ではなく、英国の有力な多国籍企業が海外で重大な人権侵害に関与していることに警鐘を鳴らしている。こうした行為は、英国の刑法に反している可能性がある。

多国籍企業が強力になるにつれ、人権侵害など重大な犯罪に関与したとき、政府はその責任を問うことが増々重要になっている。ところが英国の司法制度は、この種の企業犯罪に対応するには、あまりにも力不足である。

アムネスティは、以下のことを求める。

  • 英国企業が海外展開をする中で重大犯罪を防止できないとすれば、2010年英国贈収賄法に定められている海外贈収賄規則のような、直接責任を取らせる一層強固な法令を作成すること。
  • 企業犯罪の捜査官に対し、資金、訓練、専門的な支援を拡充すること。

背景情報

2012年9月25日、アムネスティとグリーンピースは報告書「有害な真実」を発表した。この中で、英国トラフィグラ社の多数の役員と社員が、コートジボワールの首都周辺の貧困地域近くの市のごみ捨て場など、アビジャン近辺のおよそ18カ所での有害な廃棄物の投棄に関与していたことを証拠だてた。

この報告書は、ごみ投棄におけるトラフィグラ社の役割に対して犯罪捜査を始めるよう英国に求めている。トラフィグラ社企業グループの英国部門が、地元企業にアビジャンでの廃棄物投棄を地元企業に手配するなど重要な判断を下していた結果、2006年8月の災害を招いた。

これまでトラフィグラ社は、廃棄物の投棄で責任を問われることはなかった。2007年、同社に刑事免責を与えるというコートジボワール政府との合意に達した。一部の被害者が起こした英国での民事裁判においてもまた、トラフィグラ社は示談解決に至った。オランダの法廷は、オランダから廃棄物を違法に輸出した罪で同社を有罪としたが、オランダの当局はトラフィグラ社を廃棄物投棄では起訴しないことを決めた。グリーンピースはこの決定に対して意義を申し立てたが、オランダ法廷は、コートジボワールでの疑惑行為を捜査するのは、現実的でも得策でもないと、申し立てを退けた。

トラフィグラ社は廃棄物投棄への関与を否定し、地元企業が安全で合法的に廃棄物を処理していると考える、と主張している。

アムネスティ国際ニュース
2015年7月23日

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