シリア:化学兵器攻撃の調査機関を設置

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2015年8月15日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:シリア
トピック:

シリア北部の街コバニから逃れ難民キャンプで暮らす少年 © REUTERS/Yannis Behrakis
シリア北部の街コバニから逃れ難民キャンプで暮らす少年 © REUTERS/Yannis Behrakis

国連安全保障理事会は8月7日、シリアでの塩素ガスなどの化学兵器による攻撃の実行者を特定するため、独立した調査機関を設置することを決議した。同国内の戦争犯罪の実態解明が期待される。

塩素ガスなどの化学兵器を使った攻撃は、シリアの一般市民に多大な苦悩と恐怖、そして多数の犠牲をもたらしてきた。この決議がシリア紛争の闇を解明する上で、一筋の希望の光となることが期待される。専門家チームによる調査が適正に実施されれば、同国のおびただしい数の戦争犯罪の免責の連鎖を断ち切ることができるだろう。

2011年にシリア危機が始まって以降、何百人もの市民が化学兵器による攻撃を受けて、死亡している。化学兵器の使用は、国際人道法により禁止されている。

決議には、化学兵器を使った者を特定する調査機関を設けるための手順が詳細に定められている。決議は、すべての紛争当事者に、調査対象となる場所への立ち入り、個人との接触、資料の閲覧に全面的に協力する義務を課している。

これまでシリアの説明責任を求める決議に拒否権を行使してきたロシアなど安全保障理事会理事国が合意に達した。各国が、シリアの市民が受けてきた苦痛に終止符を打つために今回はまとまったのである。

だが、今回の決議では、個人がどう責任を問われるべきか、義務に従わない場合、決議内容をどう強化すべきかを明確に規定するには至っていない。アムネスティ・インターナショナルは安保理に対し、国際刑事裁判所の検察官にシリアの事態を付託して、この決議内容をさらに発展させるように求めている。

化学兵器にしぼった今回の決議は、シリアにおける戦争犯罪のごく一部を取り上げたにすぎない。今もなお、他の戦争犯罪や人道に対する罪などにより、さらに何千人もの人々が日々苦しめられている。

アムネスティ国際ニュース
2015年8月7日

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