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ミャンマー(ビルマ):国軍幹部の人道に対する罪に裁きを

2018年7月 6日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:ミャンマー(ビルマ)
トピック:先住民族/少数民族

©Andrew Stanbridge / Amnesty International
©Andrew Stanbridge / Amnesty International

ロヒンギャに対する民族浄化作戦中に国軍の兵士が行った人道に対する罪は、国軍最高司令官、ミンアウンライン上級大将をはじめとする軍幹部ら13人が主導したものだった。アムネスティの最新の調査で明らかになった。

ラカイン州北部のロヒンギャの村々では、殺人、強かん、拷問、焼き討ち、兵糧攻めなどの暴力や襲撃が繰り広げられたが、これらは、国軍の一部の部隊やならず者兵士による単独の仕業ではなく、上層部の指示に基づく、周到に計画された極めて組織的なものだったのである。

調査結果をまとめた報告書の中で、アムネスティは、国際社会に対して、国軍の一連の行為を国際刑事裁判所(ICC)に付託し、疑われる人道の罪に対する調査と軍当局者の起訴を求めた。

多数の証拠

今回の調査は、9カ月間にわたりミャンマーとバングラデシュの2カ国で実施し、400人以上から証言を得るとともに、衛星画像、写真や動画、犯罪や武器の専門家による分析結果などを収集した。

その結果、国軍の命令系統や展開する部隊の情報、また、作戦に関与したミンアウンライン最高司令官直属の幹部9人と国境警備警察の3人のそれぞれの名前を、新たに得た。また、治安部隊は、民族浄化作戦により大量のロヒンギャ難民が発生する前から、拘束、拷問、強制失踪などの危害を加えていたこともわかった。

国軍による民族浄化作戦で、ロヒンギャの80%以上にあたる70万2000人以上が、国を追われたが、報告書では、国軍がロヒンギャの人びとをバングラデシュに追放するに至った経緯も明らかにした。

アムネスティはまた、特に残虐な行為に関与した部隊の名前も特定した。治安部隊は、国際刑事裁判所のローマ規程が挙げる11の人道に対する罪のうち9の罪を犯していた。

任務は「せん滅」

2017年8月25日のロヒンギャ武装集団による襲撃事件の数週間前から、国軍の指揮官は、特に過激な行動で悪名高い第33と第99の軽歩兵師団を送り込んでいた。これらの部隊の作戦により、これまでもロヒンギャの人びとは散々な目にあってきた。

着任した指揮官たちは、ロヒンギャの村々で、当初から目論んでいたことを実行した。武装集団が行動を起こす5日前の8月20日、指揮官たちは、周辺の村のロヒンギャの指導者たちと面談し、「もし武装集団が行動を起こすなら、お前たちを皆殺しにする」と警告を出した。

アムネスティは、ロヒンギャと軍当局者の間の電話の音声記録も入手した。「なんらかの騒動があれば、われわれは、村全体を焼き尽くす。すべてを破壊する」などというメッセージが入っていた。

8月25日、武装集団は、治安当局施設への襲撃を決行した。そして治安部隊は、数百のロヒンギャの村に火を放ち、一帯は焼け野原と化した。マウンドー郡のロヒンギャの村は、ほぼ全滅した。チュッピン、ミンジー、マウンヌの3つの村では、子どもを含む数千人が虐殺された。逃げ出す住民は、背後から射殺され、家の中に潜むと家屋ごと焼かれて焼死した。犠牲者の正確な数は、把握しようがない。

女性たちは、村内にいても村外に逃げ出しても襲われ、強かんされた。

アムネスティは、被害者22人(うち2人は少女)に話を聞いた。ラカイン州北部のロヒンギャが住む地域のいずれでも、強かんなどの性暴力が繰り広げられた。家族の目の前で犯されたり、強かんされた上に家屋内に残されたまま、火を放たれたケースもあった。女性や少女が次々と襲われる様子は地獄絵図さながらで、ロヒンギャの人びとを恐怖に陥れた。恐怖を与えるのは、ロヒンギャの追放の手段だった。

国境警備警察による逮捕と拷問

武装勢力が襲撃する前もその後も、治安部隊は、ラカイン州北部全域からロヒンギャ男性数百人を拘束し、国境警備警察で数日から数週間、隔離拘禁した。アムネスティは、拘束や暴行を受けた男性23人(うち子ども2人)に聞き取りをした。

国境警備警察は、武装集団の情報や集団との関わりを聞き出すために、男性たちを拷問にかけた。複数の男性の証言から、当局のどの施設で誰が拷問に関与したのかも判明した。拷問には、殴打、火傷、水責め、強かんなどが使われた。拷問中に亡くなった人もいた。一人は、水を所望した時に木の板で撲殺された。釈放に多額の賄賂を支払わされ、「暴行は一切受けていません」という文書に署名させられたという証言もあった。

拘束から10カ月が経った時点でも、拘禁されている人たちがいるとみられるが、当局は、誰が、どこで、どんな容疑で拘束されているのか、明らかにしていない。これらの拘禁は、国際法の恣意的拘禁にあたる。

司令部の責任

アムネスティが入手した国軍の機密文書によると、ラカイン州での部隊の行動は通常、上級の指揮官の厳格な管理下にあった。ロヒンギャの人びとに対する数々の残虐行為に手を染めた複数の部隊は、その移動、戦闘、武器の使用、状況報告にいたるまで指揮官への報告を義務付けられていた。

さらに、ミンアウンライン最高司令官ら司令官たちが、民族浄化作戦前と作戦中に、現地を訪れていたこともわかっている。また、複数の軍高官が、部隊が人道に対する罪を犯していることを知っていた、あるいは、知る立場にあったにもかかわらず、犯罪行為を止めなかったどころか、その隠ぺいを企てていた。さらに、彼らが、殺害や強かん、拷問、焼き討ちの計画や実行に直接かかわっていたことを疑わせる、信頼できる証拠も見つかっている。

アムネスティの調べで、最高司令官ら13人が人道に対する罪を主導したことが、明らかになった。アムネスティは、彼ら全員の訴追を求めている。

今こそ責任追及を

国際的な圧力が増す中、この5月、ミャンマー当局は、人権侵害の疑惑を調査する第三者調査委員会の設置を発表した。かつて、ラカイン州での人権侵害に対して、前政権が国軍主導で行った調査では、国軍の残虐行為の隠ぺいに終始しただけだった。

国際社会は今度こそ、犯罪に関与した軍当局者の責任を闇に葬ろうとする企てに騙されてはならない。長年の不処罰に終止符を打ち、ミャンマーの歴史を汚す行為を繰り返させてはならない。

国連安保理は、政治的駆け引きをやめ、速やかにミャンマーの状況を国際刑事裁判所に付託すべきである。また、武器の禁輸、重大な犯罪に関与した上級指揮官への経済的制裁などの対応も必要だ。

国際社会は、国際刑事裁判所への付託に対する国際的合意を作り上げると同時に、国連人権理事会で今後の刑事裁判に提出する証拠の収集と保全の仕組みを構築するべきである。

もし、国際社会が、ミャンマーの国軍による人道に対する罪を示す多くの証拠を前に、取るべき対応を怠ったとすれば、どうなるのか。国際社会にとって正義とは果たして何なのか、という疑問が残るだけである。

アムネスティ国際ニュース
2018年6月27日

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