「取調べの可視化」って聞いたことありますか?
「何だろう?」と思ったあなた、連続セミナー「取調べの可視化ってなあに?」に足を運んでみてください♪ 

その第一回を5月17日(木)に、アムネスティ東京事務所で開催しました。タイトルは「刑事ドラマ、ここがおかしい?」。セミナーの一部を、ちょっとだけ紹介します。

第1回の講師は、西田稔弁護士です。開口一番、「今日はすごく緊張しています。刑事ドラマについて語ることをものすごく期待されているんじゃないかと……」と、私たちスタッフの緊張を逆にほぐしてくれました。参加者からも笑いが。

刑事ドラマでの醍醐味である、犯人の自白シーン。でも、取り調べを受ける被疑者(犯人だと疑われている人)は、最大23日間拘束されるって、知っていましたか? 西田弁護士によると、「やってない」と言い続ければ、弁護士以外との連絡を禁じられた孤立無援の状態のまま、1日10時間以上、時には夜中にも取り調べを受けるなど、精神的にも肉体的にも限界な状況におかれることが多いとか。

さらに、そのような取り調べを取り巻く環境だけでなく、取り調べが密室で行われることによって、「ウソの自白」が作り上げられてしまう危険性があることを強調されました。

例えば、セミナーで流された取り調べの再現映像の中の取調官と被疑者のやり取りの一コマ。

 

取調べ官(取)「どこから入ったんや?」

被疑者(被)「表の入り口です。」

取「違うやろ、覚えてへんのか?よう思い出してみいや。」

被「裏口。ですか?」

取「違うやろ。思い出してみい。他に入れるとこがあるやろ。」

被「トイレの窓。ですか。」

取「そうや。ちゃんと覚えとるやないか。」

 

最後のトイレの窓から入った、という警察の捜査結果に一致する部分が、自白調書として取られてしまう様子がよくわかりました。参加者は、「こうやって誘導されていくんだ」とDVDに釘付けです。

最後に取調べ官が調書を読み上げても、長い調書をものすごいスピードで読んでいきます。「あれ、なんとなく、ちがう……」と思っても、ちゃんと考える間もなく、「おおむね間違っていないやろ」と言われて調書にサインしてしまう。

もし、取調べの可視化(取調べの全過程の録画)がされていれば? 適切な取り調べがあったか、チェックすることができますよね。

西田弁護士は、「ウソの自白」の作られる危険を防ぐ一つの方法として、取り調べの可視化(全過程の録画)が必要である、ということを強調されていました。

 

第二回のセミナー(6月29日)では、なぜ、無実の人が自白をしてしまうのか、今度は心理学から、実例を挙げながら自白の心理を解き明かしていきます。お楽しみに!

「取調べの可視化」連続セミナー第2回
自白の心理学 ~きっと、あなたも自白する~

日時 2012年5月17日(木)
場所 アムネスティ日本 東京事務所
主催 アムネスティ日本 キャンペーンチーム