6月3日、アムネスティ日本を含む取調べの可視化を求める市民団体連絡会(*)は、司法記者クラブで記者会見を行い、法制審議会と法務大臣に宛てた要請書を発表しました。

目的は、例外なく全過程の録音・録画を早期に導入するための検討を進めることを、改めて喚起することでした。

こんな議論で冤罪は防げない!

法制審議会「新時代の刑事司法制度特別部会」は、2013年1月、「時代に即した新たな刑事司法制度の基本構想」を採択しました。現在、この基本構想に沿って、2つの作業分科会が討議を進めています。

この基本構想では、「原則として、被疑者取調べの全過程について録画・録音を義務付ける制度」と並んで「録音録画の対象とする範囲は、取調官の裁量にゆだねる」という案が併記されています。そして、作業分科会は、録音・録画を適用しない「例外」を多く列挙して討議を進めています。これでは、抜け穴だらけの録音・録画の制度になってしまう危険があります。

そもそも、特別部会は、相次いで発覚したえん罪事件の反省から、自白の強要や不正な取り調べのあり方を見直すことを命題に設置されたはずでした。ところが、議論は後退の一途をたどっています。

6月中旬、ふたたび特別部会が開かれ、この作業分科会の討議結果が検討されることになっています。

記者会見で私たちは、特別部会が設置の原点に立ち返り、取調べの全過程の録音・録画を例外なく実施する制度をつくるよう、またメディアが十分にその動きをウォッチし警鐘を鳴らすよう、アピールしました。

また、記者会見では、国連拷問禁止委員会が5月31日に発表した日本政府への勧告についても触れられました。

拷問禁止委員会は、日本の刑事司法が自白偏重で、弁護士もつかないまま長期間拘禁されている問題を指摘しました。そして、取調べの時間の制限を設けること、自白に頼りすぎないように捜査手法を改善することとあわせ、全過程の録音・録画の導入をはっきりと勧告しています。

アムネスティは引き続き、他団体と協力して取調べの全過程の録音・録画の早期実現に取り組んでいきます。

(*)取調べの可視化を求める市民団体連絡会
呼びかけ団体:アムネスティ・インターナショナル日本/監獄人権センター/日本国民救援会/ヒューマンライツ・ナウ

hrc_20130603.jpg記者会見の様子

開催日時 2013年6月3日
開催場所 司法記者クラブ
主催 取調べの可視化を求める市民団体連絡会

▽要請書全文を読む
日本:法制審議会特別部会第1作業分科会・第2回会議の討議内容を受けて 取調べの全過程録画の早期実現を再度求める要請書

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