3月27日(木)16時から17時、参議院議員会館において、アムネスティ・インターナショナル日本主催、アムネスティ議連後援で、「死刑統計2013年」説明会を開催しました。

この日、アムネスティ・インターナショナルは、全世界で一斉に、世界の死刑に関する最新レポート「死刑統計2013年」を発表しました。この説明会は、それに合わせて開催されました。

冒頭には、この日の午前中に出された袴田事件の再審開始決定を受けて、参加された国会議員から「裁判所の決定を尊重して、袴田さんの拘禁を速やかに解くべきだ」などの発言をいただきました。

死刑に関する国際的な潮流

20140327_03.jpg説明をするアムネスティ事務局長若林

まず、アムネスティ日本事務局長の若林秀樹から、アムネスティの最新レポート「2013年の死刑判決と死刑執行」についての報告がありました。

この中で、法律上・事実上の死刑廃止国数は、前年と変わらず140カ国であったこと、2013年に死刑を執行した国は22カ国であり、前年より1カ国増えたものの、長期的な死刑廃止の潮流に変わりはないことが示されました。

また、中国を除いた、世界の執行数の80%が、イラン、イラク、サウジアラビアの3カ国に集中しており、死刑を用いる国が偏っていることも指摘がありました。

若林は、「世界ではすでに3分の2の国が死刑を廃止している」との現状を踏まえて、袴田さんの事件を受け、死刑制度についての議論をすすめたいと述べました。

えん罪と死刑

20140327_01.jpg講演をする木谷弁護士

続いて、元刑事裁判官の木谷 明弁護士から、「えん罪と死刑」というテーマで、講演をいただきました。

この中で、木谷弁護士は、37年間の刑事裁判官としての経験をふまえて、どんなに制度を整備しても完璧にえん罪をなくすことはできない、とのべられました。

「身に覚えのない罪で命が奪われることは非常に恐ろしい。死刑は、執行されてしまうと取り返しがつかない。その意味で死刑は、懲役刑とは次元の違う刑罰である。それでも死刑制度を維持すべきかどうか国民の間で議論すべきだ」と話されました。

参加者の声

説明会には、6名の国会議員と、4名の秘書の代理出席、記者・ジャーナリスト15名ほど、一般参加者10名ほどの出席がありました。今回は、法科大学院の学生の皆さんも数名参加してくださり、木谷先生のお話に、真剣に耳を傾けていました。
当日の説明会の様子は、テレビや新聞等で報道されました。

参加者からは、木谷先生のお話が聞けて良かった、死刑制度は理不尽であるとの考えを強くしました、といった声が寄せられました。えん罪と死刑という刑事司法が抱える重大な問題を考える機会ができて有意義でした、との感想もありました。

他には、「とにかく重たい問題です。アメリカで、執行時に家族や被害者や一般市民が立ち会うというのをきいて、すごいな、どういう反応があるのかと思いました。未知の領域に驚き続けました」といった声もありました。

また、高校生からは、「学校で死刑制度について調べているから聞きたいと思った」。大学生からは、「一年間法律について大学などで学んできて、刑法についてとても興味を持ちました。その中で常に死刑の問題が出てきたため、是非参加しようと思いました」という、死刑に学びたいという意欲のある声が寄せられました。

一方で、どう議論を起こすのか、また、「死刑制度を残酷だと考えるのも人間の感情であるのに、被害者感情についての議論が曖昧だと感じた。絞首刑以上に残酷な形で殺害された方を考えると、説得性が感じられなかった」との指摘もありました。今後は、いただいた意見を生かして、死刑について、さらに関心と議論を広げる取組みを進めていきたいと思います。

ご参加いただいたみなさん、またお手伝いをしてくださったみなさん、ありがとうございました。

開催日 2014年3月27日(金)
開催場所 参議院議員会館
主催 アムネスティ・インターナショナル日本
後援 アムネスティ議連

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