● シリアで人道支援を必要としている人たち:900万人以上

● シリア国内で包囲され、飢えと病気に直面している人たち:25万人以上

こうしたシリアの人道危機を打開するために、安保理は今年2月にようやく決議を全会一致で可決しました。この決議2139は、シリア市民の包囲を直ちに中止し、妨害なく人道支援ができるよう、すべての紛争当事者に求めています。

そして、この決議を確実に実行に移すために、3月から約1カ月間、人権や人道支援に取り組むNGOが協力して集中的に安保理に働きかけるアクションを実施、アムネスティも世界各地で署名を集め、1カ月で14万828人の声が集まりました。日本でアクションに参加してくださった皆さん、本当にありがとうございます!

ニューヨーク国連本部に署名を届ける

4月13日、アムネスティの中東北アフリカ担当であるニール・サモンズが国連本部を訪ね、安全保障理事会理事国に640ページにもなる署名の名簿を渡しました。オーストラリア、ルクセンブルグ、ロシア、フランス、イギリスの国連代表部とは、直接会って話すことができました。オーストラリアとルクセンブルグは決議2139の草案づくりで中心的な役割を担った国で、ロシアはシリア政府を支援し影響力を持っています。サモンズは、どれほど世界中の人びとがシリアの人権と人道の危機を危惧しているか、また国連安保理が状況に的確に対応することがいかに重要かを訴えました。

ロシアの行動が鍵に

しかし、紛争当事者は決議を無視しています。いまも支援を必要としている人びとに物資を届けることが阻まれ、市民の拉致や無差別な攻撃は続いています。2月に採択された決議によれば、安保理の理事国はこの決議が遵守されない場合「さらなる手段を講じる」責任があります。

そのためには、ロシアの態度が決定的な鍵となっています。ロシアはシリアの紛争が起こって以来、中国とともに3度にわたりシリアに関する安保理決議に拒否権を行使しました。しかし、2月の決議にはロシアも賛成票を投じています。自らも指示した決議が平然と無視され、シリアの人びとが餓死しつつある状況を見過ごしてはならないのです。

安保理では近日中に、シリアの状況を国際刑事裁判所(ICC)に付託することなど、新たな決議案について議論する予定です。アムネスティはあらゆる機会を使って、ロシアをはじめとする理事国に、シリアの人びとへの人道支援を確保し、戦争犯罪を含む重大な人権侵害に対応するよう、働きかけていきます。

▽最新のニュース
2014.04.30 国連決議への違反に対し、安保理は断固とした行動に出る必要がある

写真:空爆によって破壊された建物のがれきから救い出された妹を抱きしめる少年。2014年2月14日、アレッポ。 © REUTERS/Hosam Katan写真:空爆によって破壊された建物のがれきから救い出された妹を抱きしめる少年。2014年2月14日、アレッポ。 © REUTERS/Hosam Katan

アクション名 シリア内戦から3年:飢えに苦しむ人びとを救え!
アクション期間 2014年3月12日~4月12日
提出先 国連安保理理事国

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