2016年11月17日、1,000日間におよび拘束されていた、ベネズエラのロスミット・マンティーリャさんが釈放されました。
ロスミットさんはベネズエラで初めて、ゲイであることを公表して国会議員に当選した活動家です。
同国では、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、インターセックス(LGBTI)の人たちに対する差別が根強く、彼らを標的にした悲惨な暴力事件が頻発しています。ロスミットさんはこうした状況を変え、LGBTIの人たちの権利を実現するために、精力的に活動していました。
2014年5月、ロスミットさんは反政府活動に関連した「犯罪」行為を理由に逮捕されました。当時ベネズエラでは政府の政策に反対する大規模なデモが、全土で行われていました。ロスミットさんの逮捕は、デモでの民衆扇動、行動妨害、放火、犯罪画策などが理由でした。
彼の容疑を裏付ける証拠は十分ではありませんでした。検察は、ロスミットさんが「反政府デモを援助するための資金提供を受けていた」という匿名の証言と、自宅を捜索した際に「デモへの参加を呼び掛けたリーフレットとお金の入った封筒を見つけた」という当局側の主張に基づいて、彼を起訴したのです。
LGBTIの人が日常的に差別と暴力に苦しんでいるベネズエラで、ロスミットさんは、同性カップルが異性カップルと同等の権利を保障され、トランスジェンダーの人が法律上の性別を変更できるような制度改革を訴えていました。また、LGBTIの人たちを狙ったヘイトクライム(憎悪犯罪)を犯罪と法律で定めることの重要性も説いていました。
一方、政府は、政策に反対する声を黙らせようと、ロスミットさんのような野党政治家や活動家に対して嫌がらせや脅迫、弾圧を繰り返してきました。彼らの活動を封じようと、司法にも介入しています。ロスミットさんは、こうした当局による不当な弾圧の被害者の一人です。
アムネスティは逮捕直後から彼の釈放を求めてキャンペーンを展開、日本でも公式ホームページで署名を呼びかけました。
2016年11月17日、ロスミットさんが釈放されました。みなさんの声が、人権のために活動する人を、またもや救ったのです。ご協力いただき、どうもありがとうございました!