2018年10月13日、東京港区にある星陵会館で「響かせあおう死刑廃止の声2018」が開催されました。このイベントは10月10日の世界死刑廃止デーにちなんで毎年開かれています。

まず初めに、アムネスティ日本の死刑廃止ネットワークチーム東京の山口薫さんが、「死刑廃止に向かう世界の動き」を報告した後、日本弁護士連合会から2020年までに日本が死刑廃止となるためにどのような活動をすべきか、という話がありました。

青木理さん青木理さん

安田好弘さん安田好弘さん

次に、この日私が一番聞きたいと思っていた、ジャーナリストの青木理さんと弁護士の安田好弘さんによる「オウム13人死刑執行で時代はどう変わるか」と題された対談が始まりました。

青木さんは、今回の死刑執行、特に松本死刑囚などは心神耗弱状態ではなかったか、本当に詐病であったのか、と疑問を投げかけました。あまりに情報が少なすぎるため、事実がわからなくなっている。死刑をめぐるさまざまなことに関して、行政機関等はもっと情報を開示し、国民に議論の場を与えるべきと語りました。

安田さんは、今回の執行は100年前の大逆事件で12人が処刑された以来の大量執行であり、あまりに多くの問題を含んでいると語りました。特に再審請求中の人を執行したことは大きな問題であるとも指摘されていました。13人のうち10人が再審請求中であり、これは今後の死刑執行のありようを根本的に変えた、と強く語っていらっしゃいました。

期待通りの充実した対談でした。

対談の後は、ラッパーのダースレイダーさんがえん罪死刑囚の袴田巌さんや狭山事件の石川一雄さんの人生を即興でラップで歌う「Rapで歌う!死刑囚からあなたへ」が行われました。この内容がラップというリズムで歌われるのは実に新鮮な体験でした。

ダースレイダーさんダースレイダーさん

最後は、「死刑廃止のための大道寺幸子・赤堀政夫基金」による、死刑囚の作品の講評が行われました。この基金は2005年に始まり今年ですでに14回目を迎えています。講評をしたのは作家・加賀乙彦さん、哲学者・池田浩士さん、アートディレクター・北川フラムさん、評論家・太田昌国さん。

絵画や小説・詩・短歌等の死刑囚の人たちの表現は、閉ざされた空間で数多くの制約がある中、描かれ、書かれています。表現されたモノたちから私たちは何を受取ることができるのでしょうか。展示された絵画等を見ながら私はそんなことを感じました。

私も含めすべての人は死ぬのだけれど、この人たちと私が徹底的に違うのは、今はこの人たちは必ず殺される運命にあるのだ、ということです。このことを何とかしなければいけない、死刑は必ず廃止しなくてはいけない、とあらためて深く思いました。

2018年11月7日
可知亮(アムネスティ日本 死刑廃止ネットワークチーム東京)

実施日 2018年10月13日(土)
場所 星陵会館ホール
主催 死刑廃止国際条約の批准を求めるFORUM90
※アムネスティ日本は、FORUM90の構成団体です。

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