2019年3月23日、「袴田巖さんの再審開始を!再収監を許さない3.23全国集会」に参加しました。当日は、会場である明治大学駿河台キャンパスの教室を埋め尽くす大勢の参加者が集まりました。

13:30の開会劈頭を飾ったのは、ヒップホップミュージシャンのダースレイダー氏と社会派音楽グループMIC SUN LIFEによる冤罪根絶ライブ&トークでした。

トークでは、MIC SUN LIFEのシンガーSUN-DYU氏が、大阪の泉大津コンビニ窃盗事件で、不当に逮捕・起訴されてしまったご自身のえん罪被害の体験をお話しされました。持ち前のユーモアを交えてお話しされたので、聴衆は肩の力を抜いて聴くことができましたが、その体験は苛烈そのものであり、えん罪が決して他人事でないことが理解される内容でした。

「袴田巖さんの再審開始を!再収監を許さない3.23全国集会」参加報告

次に行われた西澤美和子弁護士による弁護団の報告では、袴田さんが極めて長い時間にわたる取り調べで"自白"を迫られ、不自然な証拠によって有罪とされて、48年間という半世紀近い年月にわたり死刑囚として拘束されてきたことや、2014年3月に静岡地裁が再審開始を決定したこと、そして2018年6月に東京高裁が再審開始取消を決定したことなどが報告されました。

また、確定第一審判決に、「自白の獲得に汲々として、物的証拠に関する捜査を怠った」「このような本件捜査のあり方は、『実体真実の発見』という見地からはむろん、『適正手続の保障』という見地からも、厳しく批判され、反省されなければならない。本件のごとき事態が二度とくり返されないことを希念する余り敢えてここに付言する」という「付言」がなされていたことも報告されました。

死刑判決が確定したにもかかわらずこのような「付言」がなされたことに袴田事件の本質が表れているとして、今回の弁護団報告は、「疑わしいときは被告人の利益に」という刑事裁判における原則を紹介することをもって結びとされました。

次に、各界支援アピール・メッセージの表明がおこなわれました。

  • アムネスティ日本&ビデオメッセージ
  • 聖エジディオ共同体
  • 袴田救援議連
  • 日本プロボクシング協会袴田支援委員会
  • 著名人アピール代表
  • 神谷広志(棋士)
  • 菊田幸一(明治大学名誉教授)
  • えん罪犠牲者の会
  • 再審法改正市民の会
  • 台湾死刑再審事件 謝志宏氏の報告

「袴田巖さんの再審開始を!再収監を許さない3.23全国集会」参加報告

次に、袴田巖さんと姉の秀子さんの挨拶が予定されていましたが、巖さんは体調不良のため、秀子さんお一人での挨拶となりました。その後、集会アピール採択を経て閉会挨拶がなされました。

「袴田巖さんの再審開始を!再収監を許さない3.23全国集会」参加報告

今回の集会は、袴田さんの支援にとどまらず、日本の警察や司法の在り方、死刑の存廃等への問題提起をも含む大変含蓄のある内容でした。

なお、日本プロボクシング協会袴田支援委員会では、森重水氏による漫画『スプリット・デシジョン~袴田巖 無実の元プロボクサー~』をネットで無料公開しています。ぜひ、ご覧ください。

執筆者:仲川 啓介(アムネスティ日本 企画・運営ボランティア)

実施日 2019年3月23日(土)
場所 明治大学駿河台キャンパス
主催 袴田巌さんの再審無罪を求める実行委員会

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