2019年5月25日、袴田事件の袴田巖さんの再審無罪を求め、巖さんの故郷・静岡県浜松市で集会を開催しました。

冒頭の主催者挨拶で、「袴田巌さんを救う市民の会」共同代表の寺澤暢紘さんが、2014年3月の静岡地裁による再審開始の決定、及び釈放から5年ということでこの集会を企画したことなど、イベントの趣旨説明をされました。

次に、弁護士・西澤美和子さんから、弁護団報告がありました。

「すべてが全面的に信用できるとまでは判断していないが...」 これは、DNA鑑定の結果について裁判所が言及した文言ですが、新証拠として提出した事案に対しては判断を避けるか、"以前の判決は合理的である"という立場を取る際の枕詞となっている、ということなどを指摘されました。

名張毒ぶどう酒事件の奥西勝さんの「特別面会人」の稲生昌三さんは講演で、「袴田事件と名張毒ぶどう酒事件の再審・無罪の実現へ大きな壁をこじ開けよう!」と訴えかけました。

集会で登壇する稲生昌三さん集会で登壇する稲生昌三さん

再審は期限の観念がなく、なかなか進まないなど、袴田事件と名張毒ぶどう酒事件の共通する問題点を指摘されました。

  • 新証拠に関する未提出証拠の開示、また、事件から50年余、隠されたすべての証拠の全面的な開示要求にも、司法は応えない上、動きもしないこと
  • 事実の捜査も行わず、証拠開示も無視し、進行協議さえ行わない。また、弁護団と一度として面会を行わないままで、棄却決定したこと
  • 決定はわずか10ページであり、検討をした跡さえ存在しない。本当に検討したのか疑わしいこと

稲生昌三さんは、「確定判決は揺るがない。弁護団が新たな証拠を提出し、新たな主張を行っても何ら意味がない」「これは司法の放棄、再審制度の破戒、もっといえば国家権力の犯罪ではないか」と語り、参加者に疑問を投げかけました。

最後の他団体アピールでは、えん罪事件を晴らすためのアリバイ崩しに警察が5年もかかった事例や、袴田さんと拘置所で面識があった方とのエピソードなどが紹介されました。

(報告者:アムネスティ日本 富士山グループ 鈴木律子)

実施日 2019年5月25日(土)
場所 クリエート浜松 1階ふれあい広場
主催 浜松 袴田巖さんを救う市民の会
協力 袴田巖さんの再審無罪を求める実行委員会
※アムネスティ日本は実行委員会の構成団体です。

 

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