2019年12月22日(日)、講演会「イチから学ぶ! 難民・移民の権利」を開催しました。講演会では、この問題にさまざまな角度から取り組んでおられる3名の特別講師と、実際に日本で難民認定を受けた方をお招きし、話を伺いました。

紛争や迫害によって故郷を追われた多くの人たちが、移民・難民として、私たちが暮らす日本に安全な生活を求めてやってきています。世界の現状だけでなく、日本の難民・移民の受け入れについても学ぶことで、私たちに何ができるのかを考える貴重な機会となりました。

(報告者: ユースネットワーク 秋山)

国際人権法の観点で見る難民・移民の権利(講師:樋口(アムネスティ日本))

まず初めに、難民条約にある難民の定義や、ノン・ルフールマンの原則などの難民の権利についての概説、そして日本の難民認定数の推移などを説明していただきました。

「日本では年間1万人以上の人々が難民認定申請をしているが、その内の99%以上は難民として認定されていない。難民の受け入れに関する日本の閉鎖的な姿勢をもっと多くの人が知り、この問題について一人ひとりが考えていく必要がある」また、「難民認定の審査を行う入管庁においても、機能の適切性を判断するためにも第三者機関を設けることが重要」といった話を伺いました。

入管収容における外国人の人権(講師:駒井知会弁護士(マイルストーン総合法律事務所))

駒井知会弁護士

次に、駒井弁護士より、実際に長期収容されている人々のあまりにも悲惨な状況について、お話を伺いました。

オーバーステイなどで非正規滞在となった、難民認定申請者を含む外国人を原則的に収容する、という日本の入管制度の運用の問題や、収容者による自殺未遂やハンガーストライキなどが起きていること、また、ハンストをやめさせるために仮放免(一時的に収容を停止して収容者を釈放する)し、2週間後に再収容するといった、問題解決につながらない入管の対応の問題点を指摘。

「入管の長期収容問題を解決していくためには、収容期間の限定や難民認定制度の改善を求めていく必要がある」という力強いメッセージをいただきました。

日本で暮らす外国人労働者と人権(講師:宮島喬教授(お茶の水女子大学名誉教授))

宮島喬教授

さらに、宮島教授より、外国人労働者が150万人まで増大した背景や原因、問題点についてお話をいただきました。

増大する外国人労働者の権利、人権は果たして守られているのか、また、どのようにして守っていくのか。そして、私たちがどのようにして外国人労働者の人々を迎え入れるのか。

「私たち一人ひとりの心の中にある偏見を知ることによって変えていくこと、共に生きていくべき人々であるという認識を持つことが重要である」とお話しくださいました。

タンスエさんのお話(ミャンマー料理店 スィゥミャンマー経営)

タンスエさん

最後に、実際に日本で難民認定を受けたタンスエさんから話を伺いました。タンスエさんがミャンマーを追われた当時の、軍事政権下での政情や民主化運動について、また、難民として認定されるまでの長年にわたる葛藤の日々を語ってくださいました。

ミャンマーを逃れてから30年以上が経った今も、いまだにミャンマーに帰ることの難しい状況だといいます。難民として他国で生活していく苦悩がどれほどのものであるか、実際の経験などを伺うことが出来ました。

さいごに

講演会では、普通に生活していく中では知りえない移民・難民そして外国人労働者といった海外から日本にやってくる人々の実情を学ぶことが出来ました。また、参加された方からたくさんの質疑があり、そうした回答からも、さらに掘り下げて問題を考えることが出来ました。

移民・難民という呼び方は単なる総称に過ぎず、当然のことながら、一人ひとりに名前があり、家族がいて、生活がある、ということを強く感じさせられる講演でした。

最後になりますが、ご多忙の中、ご登壇くださいました講師の方々、ならびに参加してくださった全ての方に、感謝いたします。ありがとうございました。

実施日 2019年12月22日(日)
場所 桜美林大学新宿キャンパス
主催 アムネスティ・インターナショナル日本 ユース・ネットワーク
日本学生平和学プラットフォーム