4年前、女性にヒジャブ(頭髪を覆うスカーフ)の着用を強いる法律に抗議したために投獄されていた母娘が、2023年2月15日、釈放されました!
女優のヤサマン・アリアニさんは、2019年3月8日の国際女性デーに、地下鉄の女性専用車両にヒジャブを脱いで乗り込みました。そして、「いつの日か、すべての女性が好きなものを着ることができるように」「ヒジャブを被っているあなたと、被らない私が一緒に歩けるように」と未来への希望を口にしながら、乗客に花を配りました。公の場でのヒジャブ着用を義務づける法律に抗議し、女性の自由のために取った行動でした。
この様子を収めた動画は、ソーシャルメディアでまたたく間に拡散されました。1カ月後、ヤサマンさんは逮捕されてしまいます。厳しい尋問を受け、彼女の行動の背後には外国の力があると自白するよう強要され、自白しなければ友人や家族を逮捕するぞ、と脅されました。数日後には、一緒に花を配った母親のモニレさんも逮捕されてしまいます。その後2人は「反体制のプロパガンダを広めた」「ヒジャブを脱いだことで腐敗と売春を煽った」「安全保障に対する犯罪行為を結託して行った」と3つの罪で起訴され、16年の実刑を宣告されました。
その後、2020年5月の控訴審で、2人に対する刑は9年7カ月に減刑されました。2020年11月、ヤサマンさんは新型コロナウイルス感染が判明し、他の陽性者と一緒に3週間隔離されました。モニレさんは医師から甲状腺と椎間板ヘルニアの手術が必要と診断されていましたが、必要な治療を受けられずにいました。
2023年2月15日、22人が釈放されたという嬉しいニュースが飛び込んできました。イランでは2月11日に1979年のイラン・イスラム革命から44年目の記念日を迎えるにあたり、反政府デモなどで罪に問われている者や受刑者数万人に恩赦を出すことが発表されていました。2人の釈放はその一環でした。
要請活動にご参加くださった皆さん、ありがとうございました!
アムネスティの取り組み
アムネスティは、ヤサマンさんとモニレさんの釈放を求め世界中で抗議の声を上げ、署名活動やイベントなどを実施しました。日本でもオンライン署名や2019年のライティングマラソンのイベントなどで、釈放を求めるハガキ書きなどを行いました。