フィリピンの元上院議員レイラ・デリマさん www.nppaimages.com
麻薬取引に関与した疑いで2017年2月に逮捕され、2件で起訴されていた元上院議員のレイラ・デリマさんが、うち1件の裁判で無罪となりました。
逮捕当時、上院議員だったレイラさんは、ドゥテルテ大統領(当時)批判の急先鋒に立っていました。大統領主導の「麻薬戦争」でフィリピン国家警察が貧民街を主な標的に何千人もの市民を違法に殺害してきたと、残虐な取り締まりを痛烈に批判していたのです。大統領側は不倫スキャンダルや麻薬犯罪との関わりをほのめかすなど、彼女に対する嫌がらせや脅しをかけてきましたが、レイラさんはそうした攻撃にも負けず、上院司法・人権委員会の委員長として、「麻薬戦争」の中で行われた違法な殺害に関する調査を開始し、ドゥテルテ大統領がダバオ市長時代に組織したとされる「処刑団」の元メンバーなどを上院で証言させました。しかしその直後に委員長を解任され、上院選の選挙活動に麻薬取引で得た資金が使われていたとする受刑者などの証言により、逮捕されてしまったのです。
レイラさんは容疑を一貫して否認し、大統領批判を封じ、大統領を批判する他の人たちを萎縮させるためのねつ造だと訴えていました。2022年春、証人のうち3人が、警察と政府高官から脅迫され強要されたものだったと、証言を撤回しました。これを受け、フェルディナンド・マルコス・ジュニア新政権の司法長官は、事件の見直しへの前向きな発言をしていました。
デリマさんの逮捕以来、アムネスティをはじめとする多くの団体が、容疑はでっち上げであり、表現の自由を行使したにすぎないと訴えてきました。アムネスティは、レイラさんの釈放を求めて、世界中で要請活動を展開。日本でも、緊急行動(Urgent Action)で要請の手紙書きを行いました。
そうした活動もあり、2023年5月2日、2件のうち1件の裁判があり、モンテンルパ地方の裁判所はレイラさんに無罪を言い渡しました!
しかし、もう1件の容疑での闘いは続いています。アムネスティはレイラさんが自由の身になるまで、応援し続けます。
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緊急行動(Urgent Action)とは、深刻な人権侵害にさらされている「特定の個人」を救うための、緊急アクションです。メールや手紙、Faxなどを使用して、その人権侵害を止め得る人びと(その国の大領領、政府関係者など)に対し、人権侵害を止めるよう要請を行います。