- 2010年12月24日
- 国・地域:キューバ
- トピック:
昨年10月、ギジェルモ・ファリニャスは欧州議会から「思想の自由のためのサハロフ賞」を授与されたが、パスポートやビザなどの必要書類が整っていたにもかかわらず、キューバ当局は出国を許可しなかった。
「キューバ政府は、平和的な人権活動を行い、その業績が認められて今回の受賞に至ったギジェルモ・ファリニャスに対し、12月15日にストラスブールで行われた授賞式出席のための渡航を許可すべきでした」とアムネスティのケリー・ハワード米州部副部長は述べた。
「ファリニャス氏の行動の基本的自由に対するこの制限は、彼の正当な表現の自由の権利を奪う、不必要な刑罰です。」
ギジェルモ・ファリニャスは、キューバ国内において平和的なキャンペーン活動を通じ、表現の自由の権利を主張してきたフリージャーナリストである。2009年末には、彼は4カ月間のハンガーストライキを行い、良心の囚人たちの釈放を訴えた。
過去にもキューバ当局は、政府に対し批判的発言をする者の渡航許可申請を却下している。
昨年10月、ブログを通じた活動が認められ、マリア・ムーア・カボット賞を受賞したヨアニ・サンチェスも、キューバ当局による渡航制限により、ニューヨークで行われた同賞の授賞式に出席することができなかった。
このたびのギジェルモ・ファリニャスに対する渡航不許可の決定もまた、昨今キューバ当局が行っている、人権運動家たちに対する弾圧の一環である。
キューバ人権・国家融和委員会の報告によれば、12月9日と10日の間に、少なくとも100人の人権活動家が国内のさまざまな場所で一時的に拘束された。この拘束には、活動家たちが世界人権デーを記念するために集うのを阻止する思惑があったとみられている。活動家たちは数時間後に釈放された。
アムネスティのケリー・ハワード米州部副部長は「ここ数カ月の間、キューバ当局は良心の囚人や反体制派の者を解放するなど、進歩をみせました。しかし、ギジェルモ・ファリニャスやその他の人びとに課された渡航制限は、キューバにおいて人権が尊重されるまでの道のりが依然長いことを示しています」と述べた。
キューバでは、国外に旅行を希望する者はtarjeta blanca(ホワイトカード)と呼ばれる渡航許可証が必要とされる。2008年には、ラウル・カストロが国民の渡航許可制限の緩和に対し前向きな考えを示したにもかかわらず、反体制派の人びとの状況は変わっていない。フリージャーナリスト、人権活動家、および政敵は、国外の行事に参加するための渡航許可をしばしば制限されている。
キューバ人権・国家融和委員会は、キューバ国内各地で拘束された人びとのほとんどが、世界人権デーを祝うデモ活動や集会に参加するため、会場へ向かう途中であったと報告している。
アムネスティ発表国際ニュース
2010年12月15日
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