日本:死刑執行は、世界の潮流に「逆行」する

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2012年3月30日
国・地域:日本
トピック:死刑廃止
日本政府はおよそ2年ぶりに死刑執行を行った。アムネスティ・インターナショナルはこの決定を、「著しく世界の潮流に逆行するものである」として非難した。

29日の朝、3人の男性が、東京拘置所、広島拘置所、そして福岡拘置所で絞首刑にされた。これは、2010年7月28日以来の執行であり、小川敏夫法相が就任後、初めてのものである。彼は、執行を法相の「職責」であると説明している。

日本では、死刑執行は絞首により、通常秘密裏におこなわれる。死刑確定者は通常、執行されることを当日の朝に知らされるが、全く知らされない者もいるという。

このことは、死刑確定者がつねに執行の恐怖に怯えながら暮らしていることを意味する。処刑された死刑確定者の家族に対しては、執行後に告知されるのみである。

「今日の執行は、日本が著しく世界の潮流に逆行し、いまだに処刑を続ける少数の国に加わったことを示しています」と、アムネスティのアジア太平洋副部長キャサリン・バーバーは述べた。

「人権を侵害することを『大臣の職責』として正当化することは、容認できません。むしろ、究極的な意味において、残虐で非人道的かつ品位を傷つける刑罰である死刑に頼らずに、犯罪に対処することが、政治的リーダーの責任です」

「つい2日前に、アムネスティは世界の死刑の状況に関する報告書を発表しました。同報告書でアムネスティは、日本が2年近く執行をしていないことを前向きな進展として取り上げました。しかし、29日の処刑は、世界の潮流に著しく逆行するものです」

1月に、小川法相は、彼の職責であるとの見解に基づいて、執行の再開を明言した。

古澤友幸氏(46才)は東京拘置所で、上部康明氏(48才)は広島拘置所で、それぞれ処刑された。そして松田康敏氏(44才)は、福岡拘置所で処刑された。

上部氏の弁護士は、彼が精神疾患を抱えていることを主張していた。しかし裁判所は、彼に責任能力を認めた。

国際法は国家に対し、死刑の行使について厳格な制限を規定し、死刑の廃止が望ましいということを強調している。日本は、市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約)の加盟国であり、同規約は、「この条のいかなる規定も、この規約の締約国により死刑の廃止を遅らせ又は妨げるために援用されてはならない」と規定する。

世界の3分の2以上の国が、法律上または事実上、死刑を廃止している。2012年3月13日には、モンゴルが国連の死刑廃止条約に加入し、死刑廃止国に加わった。

死刑は、世界人権宣言で確認された生きる権利の侵害であり、究極的な意味において残虐で非人道的かつ品位を傷つける刑罰である。アムネスティは、あらゆる死刑に対して、例外なく反対する。


アムネスティ発表国際ニュース
2012年3月29日