イラン:少年犯罪者の死刑判決を破棄せよ

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2015年3月26日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:イラン
トピック:死刑廃止

イラン当局は、少年犯罪容疑者の死刑執行予定を停止し、その事件の司法審査を命じるべきである。それが、国連人権理事会で表明した意見が、建前ではないことを示す道だ。

クルド系イラン人のサマン・ナシームさんは、拷問で「自白」を強いられ、甚だしく不公正な裁判で死刑判決を受け、処刑される予定だった。しかし、処刑は行われなかった。その1カ月後の3月19日に、国連人権理事会があった。

イランは、単に国連人権理事会での批判や非難を避ける目的で、処刑を延期したのではないかという懸念はぬぐえず、審問が終われば処刑される可能性がある。

当局は、人権に対する義務を真剣に考えており、国連の審査への協力は単なる建前ではないことを示さなければならない。単に執行を遅らせたり、秘密理に執行したりすることは言語道断である。

サマン・ナシームさんは2013年4月、クルド人の武装反政府勢力のメンバーとして、革命防衛隊に対する武力活動に参加した容疑で、死刑を宣告された。事件当時17才だった。

2010年、国連人権理事会での第1回目の普遍的定期審査で、イランは、子どもの権利条約が禁じる少年犯罪者に対する死刑執行の廃止を検討するという勧告を受け入れた。しかし、イランは依然として少年犯罪者の処刑を続けている。

また、犯行時18歳未満の者に死刑を適用しないという2回目の普遍的定期審査勧告を拒否した。当時17才だったナシームさんへの死刑判決は、少年犯罪者の処刑を厳しく禁じる国際法上の義務に違反する。

先月の執行予定は、国際社会の大きな抗議を引き起こした。ナシームさんは、2月の処刑予定日の前日、刑務所を移された。その後、所在も生死も明らかにされず、家族は重苦しい日々を送っていた。3月半ばになって当局は弁護士に、まだ執行していないと通知してきた。しかし所在の公表は拒んだ。したがって、家族は本人と面会も電話でも接触できない。これは、国際法では犯罪である強制失踪に等しい。

国連人権理事会の場で

イランは、2014年10月の審査で、勧告に対する「完全受け入れ」、「部分的な受け入れ」、「拒否」事項の一覧を国連に提出している。

3月19日、ジュネーブでの国連人権理事会で、この提出物が正式に採択されるはずである。

イランが拒否した項目には、女性の権利や子どもの権利を保護し、拷問および残虐、非人道的または品位を傷つける取扱いあるいは刑罰を終わらせ、強制失踪から人びとを保護することなどに関わる人権条約の批准を要請する勧告がある。

受け入れた勧告の大部分は、一般的あるいは漠然とした言葉で表現されたもので、多くは、受け入れたからといって、改善を考慮する、あるいは引き続き努力するという約束を意味するだけで、具体的な行動を公約させるものではない。

具体的な行動を求めた勧告をことごとく拒否したことで、イランの人権への歩み寄りは単なる見せかけに過ぎないと言えるだろう。イランが本気で人権改革に取り組んでいない事実はごまかせない。

アムネスティ国際ニュース
2015年3月18日

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