アフガニスタン:タリバンによる恐怖の支配

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2015年10月 7日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:アフガニスタン
トピック:地域紛争

アフガニスタン政府軍は10月1日、タリバンが支配していた北部の都市クンドゥズを奪還したと発表した。

反政府武装勢力タリバンは9月28日、クンドゥズを襲撃し、政府機関の施設などを占拠して都市を制圧していた。その制圧以後、アムネスティは、脱出してきた多数の住民に話を聞いた。

生き延びた住民の証言を総合すると、タリバンの戦闘員は、家々の捜索と連行・集団強かん・大量殺戮など、残虐の限りをつくしていた様子が浮かび上がってきた。

この数日間、多くの人権団体がクンドゥズ市内と周辺で精力的に救援活動を行っていた。当局は、彼らが人命救助を必要とする地域へ入ることを認めるべきだ。また、市民数千人が自宅を失っていることもあり、人びとが町を安全に離れられるような人道的措置に、すべての当事者が合意することが重要だ。

タリバンの「殺害者リスト」

現地で支援活動をする女性の話では、タリバンは「殺害者リスト」を作成し、殺害対象者を捜し出していた。リストには、活動家、ジャーナリスト、公務員らの名前と写真が載っているという。国家治安局などの政府機関やNGO事務所を占拠した時、タリバンは多数のNGOスタッフの個人情報を入手した。以後、タリバン戦闘員は、少年を使って各家を訪れさせた上で、対象とする人物を特定・拉致したという。また、自宅と事務所が略奪、放火された女性の人権擁護活動家もいた。戦闘員は、活動家が支援していた女性の居場所を聞くために、執拗に電話をかけてきていたそうだ。この活動家ら数名の女性は、自力で安全な場所に脱出することができた。

大量殺戮と強かん

活動家によれば、タリバンの戦闘員は、殺害対象の女性親族を強かんし、家族を殺害した。また、各家に入り込み、金品を略奪し、放火した。さらに、拘禁施設に収監されていた男性囚人全員を釈放し、政府軍と闘うために武器を与えた。女性囚人は、強かんなどの暴行を受けた。その後数人は別のところに移され、残りは解放された。また、ある住民は、隣人宅にタリバンの戦闘員が侵入し、夫の目の前で女性が頭を撃ち抜かれたと話した。

報復の連鎖を断つ

アムネスティは、政府軍がクンドゥズを完全に奪還したとき、タリバンの捕虜や負傷兵に報復をしないよう要請する。重大な人権侵害や国際人権法違反が疑われる場合でも、すべてのタリバン戦闘員は、公正な捜査と裁判で裁かれなければならない。軍と政府がいかなる囚人にも報復しないことが、暴力の連鎖を断ち切り、法の支配に戻ることにつながる。捕虜に対する報復行為は、戦争犯罪である。

アムネスティ国際ニュース
2015年10月1日

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