日本:富山県民男女共同参画計画<第4次>案に関する要望書

  1. ホーム
  2. ニュースリリース
  3. 公開書簡
  4. 日本:富山県民男女共同参画計画<第4次>案に関する要望書
2018年2月27日
[公開書簡]
国・地域:日本
トピック:性的指向と性自認

2018年2月27日

富山県議会議員の皆様

ダイバーシティラウンジ富山
レインボーハート富山
公益社団法人アムネスティ・インターナショナル日本

富山県民男女共同参画計画<第4次>案に関する要望書

私たちはLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)をはじめとする性的マイノリティの人権状況の改善に取り組む市民団体です。今回、富山県男女共同参画計画<第4次>案に、性的マイノリティの人々に関わる文言がはじめて盛り込まれたことを、大変嬉しく思っております。

ご存知の通り富山県内にも、ジェンダーや性別・性役割に関する偏見により、あるいは法的婚姻をしていない・していても子どもがいないという理由で差別され、さまざまな困難や疎外感に苦しんでいる方や長年にわたり自身を責めてこられた方が数多くおられます。こうした中で、富山県が従来の「男女」という二分法を越えて、性的指向・性自認を問うことなく「すべての人」の人権課題に目を向けてくださったことは、「すべての人」にとって真に住みやすい富山県となる上で、極めて重要な一歩であると高く評価します。

1月26日から2月16日かけて実施されたパブリックコメントの前の計画案では「LGBTなどを理由として困難な状況に置かれている人びと」「LGBTなどで悩む児童生徒」という表現が用いられていました。LGBTとは「性的マイノリティの人々」を指す言葉です。そのままの表現では「性的マイノリティの人々(の存在)を理由とする(困難・悩み)」と誤解されてしまう可能性もありましたが、パブリックコメントで寄せられた市民からの意見で「性的指向・性自認などを理由とする(困難・悩み)」という正しい表現に修正されたことを歓迎します。

また、性的マイノリティの人権状況を改善するための施策として、計画案には啓発活動や人権教育の推進、学校生活におけるきめ細やかな対応が明記されました。これらは、多様なセクシュアリティ(性的指向・性自認のありかた)に対する市民の理解不足を解消し、すべての子どもたちが安心して学校生活を送るためにも絶対に欠かすことのできない施策であり、県による一層の積極的な取り組みを強く期待します。

ついては、今回の計画案を契機として、多様なセクシュアリティを生きる個人を含め、すべての市民の人権が確実に尊重され、富山県が誰にとっても住みやすい県となるよう、ぜひ議員の皆様のお力をお貸しください。

具体的には、以下の点を、議員の皆様から富山県総合政策局に働きかけていただけるようお願いいたします。また、議会でも課題として取り上げていただけるようお願いいたします。

  1. ジェンダーや性別、性的指向、性自認を理由とした差別の禁止を明記すること
     
  2. 県議会議員・自治体職員・教職員を含め、より多くの市民が「人権としての性の多様性」やその尊重の必要性について学ぶことができる機会をつくること
    ※富山県内ではすでに、いくつもの市民団体や学校教員などがこのような機会を作るために活動を続けています。富山県の施策との有意義な連携が進められることを期待します。
     
  3. 富山に暮らす性的マイノリティ市民の声にも耳を傾けながら、教育、職場、医療、社会福祉、災害などの緊急時、民間や公共サービスなどで彼らが暮らしの中で直面するさまざまな困難をなくすための具体策について検討し、既存の条例・計画等の見直しを進めること
    ※例えば、「富山県男女共同参画推進条例(平成13年4月1日施行)」第12条に性的指向・性自認による差別禁止を盛り込む、「富山県人権教育・啓発に関する基本計画」で性的マイノリティや結婚しない人、子どもを持たない人にも言及するといったことが考えられます。その際、富山県に住む当事者が議員の方と会い、声を届ける機会を設けていただくことで、より実情に即した文書にできることと思われます。
     
  4. 従来の「男女」という二分法を越えて、性的指向・性自認を問うことなく「すべての人」の尊厳が尊重されるよう、相談体制の整備、各種申請書・証明書等に含まれる性別欄の必要性の見直し、新たな指針や宣言の制定など、多様な取り組みに関する検討を始めること

以上

この件に関するお問い合わせ

林夏生(ダイバーシティラウンジ富山代表、富山大学人文学部准教授、LGBT法連合会共同代表)
TEL/FAX 076-445-6156
E-MAIL lounge.toyama@gmail.com