ギリシャ:過酷な環境と闘う女性の難民たち

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2018年10月16日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:ギリシャ
トピック:難民と移民

紛争や迫害を逃れて難民となった女性たちが力を合わせて、難民キャンプの劣悪な環境や人権侵害などと闘うために立ち上がろうとしている

アムネスティの聞き取りの中で、子どもを含む多数の女性たちが、苦難を経てギリシャに到着した後も、劣悪な環境とさまざまな危険に直面してきたことを語っていた。欧州諸国が、安全な渡航手段を提供せず、入国も認めないため、非正規に入国した難民、特に女性たちが人権侵害を受けるリスクは、高まるばかりだ。しかし彼女たちは、そんな逆境に屈することなく、強靭な意志と粘り強さで立ち上がった。

#MeTooや #TimesUpといった動きが広まる中、アムネスティはギリシャに逃れてきた女性たちを支援し、「みなさんのことを知っているし、信じているし、共に闘います」と声をあげることを誇りに思う。

各国の当局は、女性たちの声に耳を傾け、行動を起こすべきである。

アムネスティは昨年3月以降、アテネ市内や周辺地域の難民キャンプなどにいる100人あまりの女性に聞き取りをしてきた。

欧州を目指す女性たちは、運命を託す密輸業者などにより、性的暴力に巻き込まれることがある。

シリア人難民の1人は、こう語る。「各国が難民を入れなくなってから、私たち女性は、業者から不当な扱いを受けるリスクがさらに高まった。『不法入国者』は、警察に訴えることもできないから、彼らに足元を見られる」。

無事、欧州の海岸にたどり着いても、苦難は続く。

今年、ギリシャに入った難民の60%以上が、女性や子どもだ。EUとトルコが交わした協定に基づき、ギリシャの島にいる難民は、EUが管理する劣悪なキャンプに収容される。複数の島にある5つのキャンプの総収容人数は、本来6,400人だが、実際の人数は、17,000人近くに達するという異常事態だ。身体障がい者や赤ん坊にも特別な配慮はなく、いずれかのテント内で生活する。飲み水は不足し、汚物は垂れ流され、ネズミが這い回るなど、衛生環境は最悪だ。

さらに女性は、女性特有の問題に直面する。女性たちの話によると、妊婦が妊産婦検診を受けられることは少なく、助産婦不在で出産した女性もいる。トイレには鍵がなく、照明は薄暗く、女性にとって夜のトイレの使用は、特に危険だという。

ギリシャ本土には、45,500人の難民や移民がいるが、ここでもキャンプの環境は劣悪だ。劣化がひどく居住は無理だとして閉鎖されていた3つのキャンプが、需要増に対応するために、再度、何の補修もなく、使用されることになった。

1人のヤジディ教徒の女性は、「ずっと放置されてきた。2年間、ここにいるけれど、何も変わらない。言葉が通じないため、相談もできない」と嘆いた。通訳者がいたとしてもほとんどが男性のため、女性特有の問題や保健関連のことは話しづらい。

しかし、問題が山積する中で、女性たちは、自分たちの生活環境を自ら変える取り組みをしている。

たとえば、郊外に女性に優しい居場所を作る。女性たちが集い、各種女性向けサービスを受けたり、女性支援ネットワークを作ったり、自分たちや家族の生活の質を向上させるための知識やスキルを学んだりするスペースだ。

過酷な運命に翻弄されていた女性たち一人ひとりが、お互いに計り知れない勇気と粘り強さを持っていることに気がついたのだ。

島にいる難民が危機的な状況にある中、女性たちは、ギリシャに対して、島での難民の収容をやめるよう求めている。

ギリシャは、本土にいる難民が置かれている環境を改善すること、さらに欧州諸国は、難民女性が必要とする支援と保護を早急に提供することが必要だ。

アムネスティ国際ニュース
2018年10月5日

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