7月15日(月・祝)、韓国の東国大学教授の朴秉植さんを大阪にお招きして、講演会を開催しました。当日は、あいにくの小雨模様でしたが、50人を超える来場者を迎えることができました。

このイベントを共催した、アムネスティ日本 死刑廃止ネットワーク大阪のコーディネータ、森本からの報告です。
 

「私の理論は日本製。日本で死刑廃止問題を学び、韓国に持ち込んだ」(朴秉植さん)

朴さんは、日本に留学していた時に死刑廃止運動に出会い、日韓を行き来しながら両国の死刑事情を紹介、死刑廃止運動の架け橋となってこられました。

今回の講演では、現在の日韓両国の死刑制度にまつわる諸事情を、スライドを駆使して説明。また、ゲスト講演者として、犯罪被害者遺族の高貞元さんにもお話をうかがいました。
 

朴秉植さん(韓国の東国大学教授)のお話

韓国では、15年以上も死刑の執行がなく、それを前提とした法改正が進んでいます。たとえば近年、死刑囚も刑務作業が行えるよう行刑法が改正されました。つまり死刑囚は「未決囚」ではなくなり、既決囚のような処遇となったのです。

日本政府は、死刑は内政問題だと主張します。しかし死刑は人権問題です。人権問題は人類共通の問題であり、世界の流れに背を向けることはできません。韓国は存置国ですが、世界からは「事実上の死刑廃止国」と見られています。自国が世界からどう見えるかも考えなければなりません。

日本が真のアジアのリーダーになるためにも、いち早く死刑執行を停止し、死刑廃止国の仲間入りをすることを祈ります。
 

高貞元さん(犯罪被害者遺族)のお話

2003年10月、自宅に帰ると、母、妻、長男がハンマーで頭などを殴られて殺されていました。夢か現実かわからなかったです。家中が血の海でした。当初は憎しみと苦しみでいっぱいで、犯人を殺してから自殺しようとまで考えていましたが、カトリックの洗礼を受け、聖書を読むうちに気持ちが変化しました。ある日ふと、「どうせ自殺するのなら、犯人を赦して自殺しよう」と思いました。犯人に「赦す」と手紙を書きました。

周囲には「犯人を赦すなんて正気じゃない」と批判されますし、娘たちにも反発されました。でも、赦した後は、夜眠れるようになりました。憎しみが憎しみを生む死刑には反対です。
 

今回、少しでも多くの人に講演を聞いていただきたいとの思いから、今回、インターネット報道メディア、IWJ(インディペンデント・ウェブ・ジャーナル)にこの催しを後日配信する予定です。

雨の中、ご来場いただいた皆さま、ありがとうございました。

開催日 2013年7月15日(月・祝)
開催場所 エルおおさか
共催 アムネスティ日本死刑廃止ネットワーク大阪
死刑廃止フォーラムinおおさか

 

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