6月30日(火)、参議院議員会館でアムネスティ議員連盟主催の第38回国際人権セミナー『難民保護から考える中東の人権―求められる国際社会の対応―』が開催されました。

ゲストスピーカーは国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)駐日代表、マイケル・リンデンバウアーさんとビジネス・人権資料センター日本代表で元国連人権高等弁務官事務所パレスチナ副代表の髙橋宗瑠さんです。

1990年に発足したアムネスティ議員連盟は、超党派の議員から構成されています。与野党の垣根を越えて、国際的な人権問題について勉強を重ね、活動を展開しています。セミナーについて、インターンの真理矢が報告します。

はじめに、議員連盟会長の尾辻秀久参議院議員から開会のご挨拶を頂き、日本の難民受け入れについて、昨年の場合は申請者5000人中11人と、非常に乏しいということについてご指摘がありました。

次に、UNHCR駐日代表のリンデンバウアーさんから、難民の悲惨な状況と求められる支援についての動画が上映されました。

hrc_201507_seminar02.jpg上映の様子

2012年以降、400万人にのぼるシリア難民がヨルダン、レバノン、トルコ、イラクなどの近隣諸国に逃れています。しかし、その近隣諸国はすでに難民の受け入れの限界に達しており、2014年2月、UNHCRは各国に対し、2015年~2016年に10万人のシリア難民を第三国定住あるいはその他の形式で受け入れるよう要請しました。日本もその中の一国です。続いて、リンデンバウアーさんは現在日本に滞在しているシリア人の状況とシリア難民のケースについてお話しされました。

日本で採りうる方策として、具体的に、家族の呼び寄せや奨学金制度を提案されました。家族を呼び寄せることも、現在の日本では在留資格によって不可能な場合があります。シリア難民の受け入れにおいて、世界で他国がどのような受け入れをしているのかという発表によって、日本でも難民受け入れについてあらゆる面で具体的な政策が推進しうるという認識が共有できたのではないでしょうか。

次に国連人権高等弁務官事務所パレスチナ副代表を経て今はビジネス・人権資料センターの日本代表を務める髙橋宗瑠さんから中東に関するお話しがありました。日本人として、パレスチナに駐在していた経験から、日本のよい評価を継続していくためにシリア難民の受け入れも含め、日本は中立的な立場で国際平和に貢献する国だということを、アピールし続けられるようにとの提言がなされました。

hrc_201507_seminar04.jpgUNHCR駐日代表のリンデンバウアーさん

最後に質疑応答では、議員より日本の社会は本来外国人を拒むようなものではないはずとのコメントがありました。それに対しリンデンバウアーさんは、「今度はその日本人の心の広さを具体的な形にする時が来ました」と、強く呼び掛けていたのが印象的でした。

アムネスティでは、シリア難民を受け入れを求める#OpenToSyriaキャンペーンを展開中です。
今後もアムネスティ議員連盟では、国際人権セミナーを開催する予定です。

開催日 2015年6月30日(火)
場所 参議院議員会館

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