7月4日(土)、東京事務所にてトークイベント「聞いて、食べて、考える♪人権のこと『家族を取り戻したい』~闘うフィリピンのお母さんたち~」を開催しました。
当日は29名の方にお越しいただきました。職員の山下が報告します。

イベントには、フィリピンで長年活動してきたジャーナリストの工藤律子さんをお招きしました。工藤さんが取材中に出会った家族の姿を通して、警察や軍による拉致、拷問、殺害などの人権問題についてお話いただきました。

フィリピンの家庭料理フィリピンの家庭料理

被害者とその家族の苦難を知り、参加者一人ひとりがフィリピンで横行する国の不当な暴力をなくすために、何ができるかを考えました。
当日は、フィリピンのことをより身近に感じてもらうために、交流会も実施しました。参加者全員で現地の家庭料理を楽しみ、最後は、拷問被害者の家族へ応援メッセージを書きました。

家族を取り戻すために闘うフィリピンの人たち

フィリピンでは、40年以上にわたって、政府と反政府武装勢力との対立が続いています。とりわけアロヨ政権下では、米国からの莫大な軍事援助を背景に、「対テロ戦争」の名の下、人権を無視した鎮圧作戦が展開されました。
こうした中、「敵」とみなされた人は、たとえ武器をもっていなくても、軍に誘拐、拷問され、命を狙われました。多くの人が犠牲となり、そのほとんどが農民や学生、子ども、弁護士、ジャーナリスト、活動家、医者などの一般市民でした。

工藤さんは、アロヨ政権下、軍に夫や子どもを奪われた家族のことを紹介してくれました。
工藤さんのお話から見えてきたのは、愛する人を取り戻すために必至に闘う家族の姿でした。
例えば、2006年に突然、娘を軍にさらわれたリンダさん。事件以来、積極的にメディアへ顔を出し、何度も法廷の証言台に立ち、娘の行方を捜しています。そのため、日々、嫌がらせや脅迫を受け、銃をもった男に尾行されたこともありました。リンダさんが危険を省みず活動を続けるのは、「娘に希望をもってもらいたい」からだといいます。

私たちにできること

2010年、深刻な人権侵害を終わらせると公約に掲げたアキノ政権が誕生しました。新しい兆しもある一方、軍や警察による不当な暴力は今現在も続いています。
工藤さんは、フィリピンへ積極的に経済援助をしている日本の人びとや政府がこの問題に関心を持つ意味は大きいといいます。フィリピン政府へ解決に向けた具体的な行動を求めるだけでなく、私たちが、日本政府に対し問題に目を向けるよう働きかけることも重要だと訴えていました。

参加者からは「フィリピンのために出来ることをしたい」「これを機に、フィリピンのことに興味を持った」といった前向きな声をいただきました。
お忙しい中、ご来場いただいた皆様、ご出演いただきました工藤律子さん、どうもありがとうございました。

ゲストの工藤さん。アムネスティの職員・インターンと一緒にゲストの工藤さん。アムネスティの職員・インターンと一緒に。

開催日 2015年7月4日(土)
場所 アムネスティ・インターナショナル日本 東京事務所