倪玉蘭(Ni Yulan)さんは、2008年の北京オリンピックに向けた住宅開発で立ち退きを強制された人たちのために、闘ってきました。そのために当局から厄介な存在だと見なされ、執拗な嫌がらせを受けていました。その玉蘭さんから、「当局の嫌がらせや脅迫を受けなくなりました」という嬉しい連絡がありました。

玉蘭さんはこれまでに3度、逮捕されています。最初の逮捕は2002年、近隣で起きた家の取り壊しを撮影していたために警察に連行され、何日も拷問を受けました。足の骨を折られ、膝を割られて、車いす生活を余儀なくされています。補償を求めると、逆に公務執行妨害で有罪となり、1年間、投獄され、弁護士の資格もはく奪されました。それでも家を失った人たちのための闘いをやめなかった玉蘭さんは、2008年、オリンピック直前に自宅の取り壊しを阻止しようとして、公務執行妨害で再び逮捕されます。

2011年、玉蘭さんは夫とともに騒乱挑発罪に問われ、夫は2年、詐欺罪が加わった玉蘭さんは2年8カ月の実刑判決を受けました。13年10月に出所してからは、家を借りるのを阻止されたり借家を追い出されています。不動産業者や家主の話では、当局から圧力をかけられたということです。

2017年に入って2度も退去させられ、路上生活の後、ようやく借りた家でも退去を迫られました。なんとか住み続けることはできたものの、その後は、誰かにドアを30分以上も叩かれる日々が続きました。

アムネスティは2017年のライティングマラソンで、玉蘭さんへの嫌がらせをやめるよう、中国当局に要請したり、玉蘭さんを応援する手紙書きを行いました。

当局の嫌がらせは、新居に引っ越した2018年8月から収まったようです。10月にアムネスティに届いた玉蘭さんからのメッセージを紹介します。

倪玉蘭, Ni Yulan さん ©Private 倪玉蘭(Ni Yulan)さん ©Private

「アムネスティのみなさん、みなさんの励ましや支援に感謝します。前の家を借りた時、警察から呼び出されて警告を受けた家主に退去を迫られましたが、友人たちに手伝ってもらい8月に別の家に、無事引っ越すことができました。もう2カ月以上、警察の嫌がらせはありません。みなさんのおかげで、今は平穏な日々を送っています。本当にありがとうございました。」

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