2019年8月3日、アムネスティ日本 奈良グループ主催で、DVD上映会「ウイグル強制収容所から奇跡の生還~オムルベク・アリさんは語る」を開催しました。

奈良グループはこれまで毎月、良心の囚人※であり、ウイグル人経済学者のイリハム・トフティさんを支援し、彼の釈放を求めてハガキを書いてきました。そうしたことから、今回の上映会が実現しました。

上映会には猛暑の中、17人の方がご来場くださり、終映後には、みんなでトフティさんの救援ハガキを書きました。中には、友達にも声掛けします、とハガキを10枚希望される方もいました。

※良心の囚人:暴力を用いていないのに、信念や信仰、人種、発言内容、あるいは性的指向などの理由で囚われている人たちのことを、アムネスティは「良心の囚人」と呼んでいます。

オムルベク・アリさん「命がけで強制収容の犯罪行為を訴えていく」

カザフスタン国籍のオムルベク・アリ(本名:オムル・ベカリ)さんは、旅行会社の副社長をしていたとき、新疆東部にある両親宅に突然現れた警察官によって身柄を拘束され、「カラマイ市技術研修センター」強制収容所に収容されました。カザフスタン外交官たちの働き掛けで、8カ月後に釈放されましたが、収容所内の環境は劣悪で出所したときには体重が40キロも減少していたといいます。

ウイグル各地にある強制収容所には、100万人以上の人たちが収容されているといわれており、わかっている限りで生還できたのは約20名、その多くはカザフスタン人ということです。

講演会に、鎖と結束バンドで手足の自由を奪われた状態で現われたオムルさん。彼はこの状態で、最初の3カ月を強制収容所で過ごしたといいます。彼はそのまま強制収容所での体験を話し始めました。

オムルさんが捕らえられたとき、カザフスタン領事館に助けを求めたオムルさんのお母さんは、今収容所にいます。まったく切ないことです。

ヌーリ・ティップさん「日本のみなさんに応援してほしい」

もう一人の講演者、ヌーリ・ティップさんは、2017年3月に強制収容所に入れられ死刑判決を受けたタシポラット・ティップさんの弟です。兄のタシポラットさんは、新疆大学の学長も務めた著名な学者です。

ヌーリさんが新疆大学に進んだのも、日本に留学したのも、秀才の兄タシポラットさんにならってでした。そのヌーリさんが反体制派となり渡米。2001年を最後に、兄の身の安全のため、一切の接触を断っていました。

しかし、当地の最高学府の新疆大学長になったタシポラットさんは、分離主義の罪を着せられ、死刑判決を受けました。現在、家族ともども消息不明となっています。今回の来日は、お兄さんとの日本の思い出をたどる旅でもありました。

ヌーリさんは「私は日本を第二の故郷と思っています。日本のみなさん、どうか応援してください」と、日本の皆さんへ支援を呼びかけました。

最後に

お二人とも、「中国政府は私達ウイグル人の土地だけが欲しいのです。そこに住むウイグル人は邪魔なのです」と語り、「もし今、国際社会がこの施設をなくす努力をしなければ、香港や台湾や中央アジアにも広がっていくかもしれない」と危惧していました。

最後に、参加された方たちとオムルさんの話について語り合いました。

「12平米の部屋に45-50人、寝るときは交替でって、12平米ってどのくらい?」
「8畳くらい」
「えー、どうやって」

「食事の時、中国共産党に感謝、習近平に感謝、国家に感謝と唱えるんだ」
「それだけじゃないよ」
「朝8時から夜中の12時半までの政治学習の時間に、中国共産党に繁栄、習近平の健康、中国国家の繁栄を祈る」
「その他、ウイグル人にうまれて悪かった、イスラムを信仰して悪かった、と自己批判したり、『私は党の家来です。すべて共産党のおかげです』と叫んだりする」

以上奈良グループの報告でした。

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実施日 2019年8月3日(土)
場所 奈良県女性センター
主催 アムネスティ日本 奈良グループ

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