2019年8月17日(土)、難民のことを映画を通して知ってもらおうと、映画「海は燃えている~イタリア最南端の小さな島」の上映会&トークイベントを開催しました。

当日は猛暑の中、多くの方にご参加いただきました。

上映前後や休憩時間には、難民の実際の映像をVRで体験してもらう企画も実施。会場にいる方たちに、紛争地の様子や、命からがら母国を逃れ、難民キャンプで生活せざるを得ない難民の人たちの状況をリアルな映像で見てもらい、自分自身が実際そこにいるかのような体験をしていただきました。

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映画「海は燃えている」について

この映画は、イタリア最南端にある、一つの小さな島の生活をドキュメンタリーで描写していく、非常に現実味のある作品です。島の住人と難民が交わるシーンはなく、唯一、1人の島の医者を通してだけ、島民と難民の両者がつながります。

冒頭の、穏やかな島民の平和な生活の描写とは対照的に、後半になるにつれ、アフリカから海を渡ってくる難民の人々の過酷な状況が生々しく描かれ、「島の表の顔」と、難民を受け入れる最前線としての「島の裏の顔」が浮き彫りになっていきます。

この島で平和に暮らすサムエレという少年の視点も印象的です。左目の視力が低下し、島の医師のもとに通うサムエレ。最終的に視力は回復するのですが、この出来事を通じて、サムエレは片方の目で、今、島で起きている物事の本質を見抜いてくような様子が描写されています。

■特に印象に残ったシーン1:難民のボートの劣悪な環境

ボートは上層、中層、下層と3つの層に分かれいて、下層にいくにつれ乗船料金が安くなる。下層は特に劣悪な環境で、温度や湿度が高く、人口密度も高いため、脱水症状になって倒れる人や、エンジンの近くでは化学物質が皮膚に付着し火傷を負う青年も。

このような環境の中、多くのボート難民が目的地に到着することなく途中で生き絶えてしまうということは、珍しくはない。映画では、下層にゴロゴロと転がる、複数の息絶えた死体が描写されている。

■特に印象に残ったシーン2:難民がスポーツを楽しむ場面

ランペドゥーザ島までたどり着いた難民は、車で専用の施設まで送られる。施設では、難民の人々は疲れきった中身体検査を受けていたが、その一方でどこかホッとした表情をみせる。

あるシーンでは、難民の人々の出身地であろうリビアとチュニジアに別れてフットサルの試合をしていた。そこには、辛い時間を忘れたかのように、和気藹々とした雰囲気の中、スポーツを楽しむ難民の姿があった。

スポーツには、国籍・民族問わず、異なる人々を一つにし、一緒に楽しめる場をつくる力があるのだと実感。

■特に印象に残ったシーン3:島の医者の発言

ランペドゥーザ島の唯一の医師は、数え切れない難民を診断していく中で、一言。
「こうした人々を救うのは、すべての人間の務めだ」

トークイベントについて

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赤阪むつみさん(難民支援協会、難民研究フォーラム事務局長)をゲストにお招きし、アムネスティ日本の事務局長、中川英明との対談を行いました。

難民についての基礎知識、日本の難民の受け入れ状況、難民支援協会の活動、お二人の現職に至るまでの経歴・経験などが語られました。最後の質疑応答では、より詳しいお話を聞くことができました。

ご参加くださったみなさま、ありがとうございました!

報告者:佐々木優(キャンペーン補佐ボランティア)

実施日 2019年8月17日(土)
場所 日比谷図書文化館B1 日比谷コンベンションホール
主催 アムネスティ日本

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