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人権の「今」がわかるニュース

イベント報告【イベント報告】アムネスティ香港支部事務局長が語る「緊迫の香港情勢」

6月に始まった「逃亡犯条例」改定案反対運動は、警察の激しい実力行使に反発したデモ隊が、警察と強硬な態度を崩さない政府に抗議する運動へと転化し、民主化を求める運動として現在まで続いています。

香港では今、何が起こっているのでしょうか。そして、私たちに何ができるのでしょうか。アムネスティ香港支部事務局長MK・タム(Mankei Tam、譚萬基)が緊急来日し、香港で活動している者の目で何が起こっているのか語っていただきました。

運動の変化を象徴する3つのスローガン

  1. 香港人加油!(がんばれ)

    今日まで続く大規模な抗議行動は、6月9日に100万人を集めたデモ行進に始まります。そして、16日には200万人の大デモンストレーションが行われました。香港の人口、約750万人からするととてつもない人数です。香港の大規模な運動は、多くの国々で反響を呼び、支持する集会が開かれます。

    デモ隊は、2014年の雨傘運動の挫折から多くのことを学び抗議活動に生かします。リーダーを置かない、街を占拠しない、非暴力派と勇武派の相互尊重。雨傘運動では、リーダーが運動を主導しましたが、それでは参加者の自発性が失われ、また、リーダーは当局からマークされます。今回は、参加者が自分で考え自分に出来ることを率先して行動しました。さらに、暴力を否定する者と必ずしも否定しない者が対立したことが雨傘運動を内部から崩壊へと導いたことを教訓とし、立場の違いを乗り越え、認め合うことだということが彼らの共有するところとなりました。
     
  2. 香港人抵抗!

    10月4日、林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官が、「緊急状況規則条例(緊急法)」を発動しました。自らに権限を集中させ、立法機関の審議を経ずに法律を定めることができるもので、イギリス植民地時代の1922年に制定されました。そして、翌日には、緊急法に基づく「覆面禁止規則」が適用されました。これに対して、デモ参加者は、「香港人、反抗せよ」、「覆面は罪なき、立法は理不尽」と叫び、政府へ抗議の意思表示を行いました。
     
  3. 香港人報仇!(香港人は復讐する)

    11月8日、香港科技大学のアレックス・チョウ氏(周梓樂)が亡くなりました。一説では、警察の催涙ガスを避けるため立体駐車場へ入り、そこで転落したとされ、また、救急車で搬送しようとしたところを警察が妨害したと伝えられています。警察の実力行使が原因と見られる死者は彼が初めてで、大きな衝撃となりました。ここから、警察と警察を支える政府、香港政府の後ろ盾後なっている中国政府に対する責任の追及が高まりを見せ、急激に彼らに対する信用が低下していきます。

香港に忍び寄る中国の影

香港の人たちは、何故ここまでこの条例案に反対するのでしょう?

一つは、中国が香港の自由と自治をないがしろにする事件が相次いだことです。特に、2015年に起きた銅鑼湾書店関係者5人の失踪事件は大きな衝撃を香港人に与えました。失踪者の中には、中国公安により香港から中国国内へ連行された者がいるとされています。中国の公安が香港へ自由に出入りし、香港人を拉致したことは香港人にとって恐怖でしかないでしょう。

二つ目は、習近平政権になってから中国の国家安全が大きな課題として浮上したことが上げられます。数々の中国の国家安全に関する法律が制定されましたが、そのなかでも、2015年に成立した「国家安全法」には中国の香港に対する支配の強化が盛り込まれました。

香港はこれまで、一国二制度の下、高度な自治と中国とは異なる法制度のもと自由を享受してきました。しかし、それも、中国の国家安全の名のもと、蚕食されています。香港人にとって、一国二制度が脅かされ、さらに「逃亡犯条例」が改定されれば、司法の独立していない中国と同様、恣意的な拘束や拷問を自分達が受ける可能性があることを意味するのです。

アムネスティ香港支部事務局長が語る「緊迫の香港情勢」

アムネスティの取り組み

アムネスティは、警察の過剰な実力行使こそがデモ隊の暴力を引き起こし、「力」と「暴力」の応酬の連鎖がエスカレートして行く主要な原因であると考えており、このことにフォーカスした調査をしています。

最近出された報告書は、警察に拘束された人々にインタビューを行い、証言をまとめたものです。そこでは、デモ参加者に対して、警官が拷問や虐待を行っていることが明らかになりました。中には必要な治療を受けることを妨げられたり、弁護士を依頼することを拒まれたりしています。

アムネスティは現在、主に以下のようなことを求めています。

  1. 香港の人たちの正当な表現の自由・集会の自由を守ること。
  2. 香港警察の行っていることは過剰な・不必要な実力行使であり、即座に停止して、第三者委員会を設置して、何が起こったのかを調査すること。

香港の未来へ向けて

「逃亡犯条例」改定案は10月23日に正式撤回されました。しかし、あまりも遅く民主派の要求する5つのうちの一つにすぎず、不十分なものです。また、11月24日に行われた区議会選挙で、民主派が圧勝しました。これは、いかに香港市民が権利侵害に抗議しているかの証です。民主派も親中派(建制派)も香港の行く末をここから学ばなければなりません。(「光復香港,時代革命」香港を取り戻せ、新しい時代を作る)

私たちに出来ることは、香港に対する関心を持ち続けることです。それは、香港の人たちを勇気づけ、共に人権が尊重される社会のため手を携えていくことにつながります。

予定の時間を大幅に超えたにも関わらず、多くの質問に一つ一つ丁寧に答えてくださいました。この場をお借りして感謝します。

(報告者:アムネスティ日本 中国チーム 渡辺哲生)

関連情報

実施日 大阪講演:2019年12月2日(月)
東京講演:2019年12月3日(火)
場所 大阪講演:日宝道修町ビル308
東京講演:日比谷コンベンションホール(大ホール)
主催 アムネスティ・インターナショナル日本 中国チーム、関西連絡会

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