猛暑、干ばつ、台風、洪水。世界各地で、毎年のように地球温暖化の影響で多くの人の命や暮らしが奪われています。温暖化がさらに進めば人権への悪影響は危機的なものになると懸念されており、温暖化対策は待ったなしです。

温暖化を引き起こしているのは、主に化石燃料の燃焼による二酸化炭素の排出です。なかでも石炭は極めて二酸化炭素の排出が大きく、今、世界中で「脱石炭」が叫ばれています。日本は先進国の中でも石炭火力発電の割合が高く、石炭の利用廃止は緊急で重要な課題です。

経済産業省、環境省、内閣府へ署名を提出

アムネスティ日本は、2021年4月20日、要請書「温暖化から人権を守るため2030年までに石炭ゼロに!」と1,878筆の賛同署名を、経済産業省、環境省、内閣府に提出しました。要請書では、気候変動による最悪の影響から人権を保護するために、次の3点を求めました。

  • 2030年までに石炭ゼロを実現すること
  • 2030年を目途に、できるだけ早期に温室効果ガス排出量をゼロにすること
  • パリ協定の目標達成に向けて、現在国連に提出している温室効果ガス削減目標を引き上げること

経済産業省、環境省、内閣府に、温暖化から人権を守るため2030年までに石炭ゼロに求める要請書を、1,878筆の賛同署名を添えて手交しました

温室効果ガス排出削減目標「46%削減」では人権を守れない

日本政府は4月22日、2030年までの温室効果ガス排出削減目標を、2013年度比で46%削減すると発表しました。これまでの削減目標26%からは引き上げられましたが、気候変動から人権を守るためにはこれでも不十分です。

2018年10月に気候変動に関する政府間パネル(IPCC)において国連が発表した特別報告によると、今後、人類にとって最悪の結果を避けるためには、地球の温度上昇を産業革命前の水準から1.5℃以内に抑えなくてはならない、と明記されています。そのためには、2030年までに世界の排出量を2010年比で約半減させなければなりません。ただ、開発途上国に先進国と同じようなペースでの排出削減を求めるのは理不尽であり、多様な資源と強力な技術力を持つ富裕国が率先して動くべきです。日本を含む富裕国は2030年をめどに、できるだけ早い時期に、温室効果ガスの排出量ゼロを達成する必要があります。

化石燃料をゼロにする目標も日本政府は発表していません。責務を果たすためには、高効率・低効率問わず、稼働中・計画中も含めすべての石炭火力発電を2030年までに全廃する必要があります。

アムネスティ日本は、これからも気候変動から人権を守るため、今回の目標をさらに引き上げ、次期エネルギー計画に盛り込むよう、日本政府に求めます。