政府提出の「出入国管理及び難民認定法を一部改正する法律案」が4月16日、衆議院本会議で審議入りしました。長期収容の原因に対処することなく、難民申請者の送還を可能するなど、日本で共に暮らす移民・難民の排除につながるこの法案に対して、市民社会から多くの反対や懸念の声が寄せられています。

4月22日(木)、緊急院内集会「入管法改悪反対!緊急院内集会 ~移民・難民の排除ではなく共生を~」が参議院議員会館の講堂で開催されました。法改正によって影響を受ける当事者や、支援団体、弁護士から、入管法「改悪」に反対し、移民・難民を排除するのでなく、共に生きる社会の実現を呼びかける声が訴えられました。国会議員12名とほか国会議員事務所から13名、そしてメディア関係者39名が会場に集い、ライブ配信を通じて600名以上の視聴者が参加しました。

集会は山岸素子さん(移住者と連帯する全国ネットワーク)の司会で始まりました。はじめに、児玉晃一弁護士(東京弁護士会/全件収容主義と闘う弁護士の会 ハマースミスの誓い)より、難民など国際的な保護を必要とする人たちや、在留特別許可を必要とする人たちに、今回の法改正がどのような影響を与え、どのような制度的課題を有しているのかについて、実務や国際的視点も踏まえながら解説が行われました。次に、4人の当事者からも、自身の経験に基づいて、家族を奪われることや母国への送還による命の危険など、法案に対する様々な恐怖や不安の声が訴えられました。長崎県にある大村入国管理センターで約15年にわたり被収容者との面会や施設内での礼拝にも取り組んできた柚之原寛史牧師からは、長期収容の実態と法案を絶対にこのまま通してならないという強い危機感が示されました。

次に、移民や難民を支援する4つの市民団体と弁護士より、政府の法案に関する各団体の取り組み報告や、国内世論や国連機関等からの懸念が共有されました。この中で発表された入管法改悪に反対する2種類の署名は合計10万筆以上が集まっており、院内集会後に法務省へ提出されています。

集会の最後には、国会審議へ求めることとして、大橋毅弁護士(全国難民弁護団連絡会議)と鳥井一平さん(移住者と連帯する全国ネットワーク)より、この数十年の日本社会を俯瞰しながら、法案で歪められている課題認識と、本当に必要な入管法の改正に向けた提言が発表されました。

集会中、登壇者の報告や当事者の声に対して、参加いただいた国会議員より、法案への意見や国会審議への取り組みなど、力強いご発言もいただきました。

「出入国管理及び難民認定法を一部改正する法律案」は4月26日現在も国会で審議中です。在留資格の有無に関わらず基本的人権と尊厳が等しく尊重され、移民・難民を排除するのではなく、人と人が共に生きる社会をつくるために、まさに正念場を迎えています。この問題への今まで以上に強い社会の関心と訴えが必要です。実行委員会一同、集会へご参加いただいた皆さまへ感謝申し上げるとともに、今後も絶えず市民社会として共に声を挙げていっていただくことを切に願っております。

ご参加いただいた国会議員(五十音順)

池田真紀 衆議院議員議員(立憲民主党)、石垣のりこ 参議院議員(立憲民主党)、石川大我 参議院議員(立憲民主党)、石橋通宏 参議院議員(立憲民主党)、小沢雅仁 参議院議員(立憲民主党)、岸真紀子 参議院議員(立憲民主党)、高木錬太郎 衆議院議員(立憲民主党)、髙良鉄美 参議院議員(無所属・沖縄の風)、辻元清美 衆議院議員議員(立憲民主党)、藤野保史 衆議院議員議員(日本共産党)、松田功 衆議院議員議員(立憲民主党)、山花郁夫 衆議院議員議員(立憲民主党)

ご参加いただいた国会議員事務所(五十音順)

石川大我 参議院議員事務所、石橋通宏 参議院議員事務所、小沢雅仁 参議院議員事務所、尾辻かな子 衆議院議員事務所、岸真紀子 参議院議員事務所、階猛 衆議院議員事務所、高井崇志 衆議院議員事務所、中谷一馬 衆議院議員事務所、西村智奈美 衆議院議員事務所、藤野保史 衆議院議員事務所、山尾志桜里 衆議院議員事務所、山添拓 参議院議員事務所、屋良朝博 衆議院議員事務所

2021年4月26日
報告文:入管法改悪反対!緊急院内集会

 

実施日 2021年4月22日(木) 12:00~13:30
開催方法 オンライン(YouTube配信)
主催 「入管法改悪反対!緊急院内集会」実行委員会