2021年12月25日(土)、アムネスティ・インターナショナル日本の死刑廃止ネットワーク大阪チームは、同志社大学神学部教授、良心学研究センター長である小原克博氏を講師に、また大本教誨師会幹事長である高木日出喜氏をゲストスピーカーに招いて、「死刑制度と良心―良心はいかに関わるのか―」と題された講演会をオンラインで実施しました。約50名の方にご参加いただきました。

最初の70分間は小原先生によるお話でした。死刑を人権の問題と捉え、それがいかに侵害されているかということに注視しながら、キーワードである「良心」について考え、死刑問題へと話が展開していきました。「良心」の問題については、「良心の自由」とは何かを歴史的なことから現代の事例をもとに丁寧でわかりやすいお話をいただきました。今回のお話の中心であった「良心」は、英語でいうところのconscience。原義のラテン語に戻って意味を考えれば、「共に知る」です。我々が思い描く儒教的な「良い・悪い」の判断の基となる「良心」とはかなり異なっています。死刑問題を考える上で、この「良心=共に知る」についてしっかりと考えることが重要なカギとなります。我々は暗黙裡に「良心(=共に知る)の共同体」を作り上げています。しかもその「共同体に属している・いない」で「殺してはいけない・殺してよい」線引きを行っています。津久井やまゆり園の事件が例に挙げられました。加害者の青年に下された死刑判決を容認する社会は、その線引きを認めていることに他なりません。しかも、死刑はその線引きを国家権力に委ねてしまっているのです。また、視聴者さんからの申し込み時の質問にもお答えいただきながら、我々の社会が死刑を容認しない、かつもっと多様で包摂的な「良心の共同体」への成長してゆくためのヒントを話していただきました。

次に、高木先生が小原先生のお話にコメントを加えながら、大本の教えに基づいたご自身の教誨師としての経験(=「裁き」を受けた人との対話)を踏まえてお話しされました。 最後の30分は、講師の先生方と視聴者さんによる質疑応答の時間でした。両先生方は、視聴者さんからのいくつかの質問に丁寧にかつ熱心に答えてくださいました。また、アムネスティの側からは、「死刑制度に反対している議員はどれぐらいいるか」という質問に答えました。終演時間ギリギリまで質疑応答の時間が続きました。

 

開催日 2021年12月25日(土)18:00-20:00
開催方法 オンライン(Zoom配信)
主催 アムネスティ・インターナショナル日本 死刑廃止ネットワーク大阪