スポーツと人権カフェ 第一弾「スポーツの視点で人権を考える〜私たちが人権のためにできること〜」

健康のために運動したり、友人と遊んだり、好きなチームを応援・観戦したりするなど、私たちはスポーツが大好きです。私たちにとって身近なスポーツですが、実は、スポーツと人権には深いつながりがあります。それは遍在しているにもかかわらず、見過ごされがちです。

今年から始まった新しい企画「スポーツと人権カフェ」では、スポーツと人権がどのように相互につながっているのかを知り、そして、スポーツの力を使って人権のために創造的で楽しいアクションを起こすために、私たちにできることは何かを、お互いに意見を出し合って、考え、学びます。

2023年2月27日に開催した記念すべき第1弾「スポーツの視点で人権を考える」では、全国各地から20名以上の参加者が集まり、さまざまなテーマで楽しくディスカッションしました。

具体的には、コーチやアスリートによる若い選手への虐待やハラスメントに対する相談や苦情を相談できる安全な場所がないなど、日本のスポーツ界が抱える人権上の問題や、スポーツウォッシングの問題などについて、参加者同士で議論を交わしました。

「スポーツウォッシング」とは、ある国や団体、企業、個人などが、スポーツを利用して自身のイメージを良くしようとしたり、問題を覆い隠そうとしたりすることです。最近の例をあげると、FIFAワールドカップカタール2022大会では、華やかなスポーツイベントの裏で、インフラや会場設備の建設に従事した何十万もの移民労働者が、劣悪な労働環境で働かされ命を落としたり、賃金が適切に支払われなかったりなど、多くの人権問題が起きていました。歴史を振り返ると、1936年のナチス政権下のドイツでベルリンオリンピックが開催されるなど、100年前以上も前から行われていた問題でもあることがわかります。

近年、こうした事態にスポーツ選手やファンが抗議の声を上げています。W杯カタール2022大会では、カタールで同性愛が厳罰の対象とされていることから、欧州の選手たちがLGBTを支持する腕章を着用して試合に出場することを計画。しかしFIFAが制裁を科すとして着用を禁止したため、ドイツ代表の選手たちは試合開始前の集合写真で、手で口を覆う仕草をし、これに抗議しました。

また、2023年の夏に開催される女子サッカーワールドカップでは、サウジアラビアがスポンサーになる計画がありましたが、多くの選手やスポンサーからの抗議の声や反発を受け、契約は白紙になりました。サウジアラビアでは女性たちが、結婚、離婚、子どもの親権など、家庭生活のほとんどの場面で深刻な差別に直面しています。

参加者からは、「私たち全員がこうした問題に対して行動し、スポーツを利用して人権侵害をないものにしようとする政府に圧力をかけることが重要だと思う」という意見がありました。

 

その他にも、今回のイベントに関して、「以前からスポーツと人権に興味があったが、このカフェに参加するまでは、同じ考えを持つ人たちと意見を交換する場がなかった」という感想をいただくなど、参加者それぞれがスポーツに関する個人的なエピソードを通して人権について学び、語り合う、貴重な機会となりました。

「スポーツと人権カフェ」は、今後も定期的に開催する予定です。このイベントの企画・運営を手伝ってくださる方を大募集しています。興味のある方は、camp@amnesty.or.jp までご連絡ください。

 

開催日 2023年2月27日(月) 19:00-21:00
開催方法 オンライン(Google Meet)
主催 アムネスティ・インターナショナル日本

 

7/11(火)、<スポーツと人権>交流会&勉強会:第3弾「スポーツと気候変動を考える」を開催!

今回は、講師に武知実波さんをお招きして、「サーフィンなどマリンスポーツと気候変動」についてお話を伺います。この問題について、皆さんの考えや経験などをお互いにシェアし、ディスカッションなどを通じて一緒に学びませんか。問題解決のためのアプローチなども一緒に考えます。

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